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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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クラスタ-14


 テオの中で両親とスランバートの関係は、完全完璧な三角関係だ。
 つまり、三角関係のクセに全員相思相愛。
 その関係は危ういバランスを持って成り立つものであり、長く続くものではない。
 だから、スランバートは身を引いた。

「……と、思ってたんだけど?」

「まあ、ほぼ正解だな。じゃあ、何で身を引いた筈の俺が父親なのかって話だ」

「あ」

 そういえばそうだ……スランバートはファンの城を最後に姿を消した。
 その後、何年も会ってないと聞いている。

「さっきお前が話してくれた物語の中で抜けてるのがひとつ……南の大陸からファンに向かう船で、俺はカリオペを抱いてる」

「へ?」

「船とファンでは手を出さない変わりに抱かせろっつって、カリオペはその条件をのんだ」

「じゃあ……」

「そん時、出来たのがお前だ」

 スランバートが2人の前から姿を消した時点で、誰も母親の妊娠には気がつかなかった。
 気づいたのはデレクシスを西の魔法大国ゼビアから、南の大陸カイザスまで送る護衛中。
 旅の途中で妊娠に気づき、ファンで出産。
 妊娠中、魔物父はデレクシスをクラスタに送り届け、多額の報酬を元手に古家を改装してパン屋を作った。
 で、テオが旅に耐えられるであろう3歳までファンの城で世話になり、その後南の大陸の西部に引越したのだ。

「その引越しの途中、初めてお前に会ったんだ」

 当時、クラスタ要塞は出来たばかりの状態で人々が入り乱れごちゃごちゃしていた。
 そこに上手い事潜り込み、何食わぬ顔で働いていたバートンを一発で暗殺者だと見抜いたデレクシスは、そのまま彼を側近にした。
 そして、南の大陸に引っ越すと伝えてきたテオの両親を呼んで3人を再会させたらしい。

「あん時はビビったぜ?大事な客が来るから挨拶しろっつわれて行ってみりゃアイツらが居るわ、俺の子供だっつうお前が居るわ……」

 ちょっとした……いや、物凄い大騒ぎになった。
 その時、1週間程ここに滞在したらしいがテオは全く覚えてなかった。

「俺はアイツら2人共好きなんだ。カリオペもチビも……愛してるっつっても過言じゃねえ」

 バートンは懐かしそうに微笑んでテオを見る。



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