クラスタ-10
「君が喜ぶものだよ♪バートン♪」
そう言ったデレクシスはノアに目配せする。
視線を受けたノアは、軽く頭を下げてから呪文を唱え籠を消し去った。
そこに現れたお土産達は……ファンのランスロット王子、ファン宮廷魔法使いノア、緑金の髪の美女、毛だらけの蛇、魔物少女……そして……黒髪赤目の青年。
その黒髪赤目……テオの所で目を止めたバートン顔が、見る間にぱあっと明るく輝いた。
「テ〜オ〜ド〜ア〜」
バートンのクールな雰囲気が一気に霧散して消える。
軽く手を広げテオに駆け寄ったバートンは、有無を言わせずギュウッとハグをした。
「な、な、なあ?!」
いきなりの展開にテオはジタバタ。
「あ……もしかして……」
その様子を見ていたリュディは、パンと両手を打ち合わせた。
「テオの……お父さん……?」
クラスタに居るらしい本当の父親に会ってみたい……と言ってはいたが、こうあっさり見つかると何だか拍子抜けだ。
「あ……アンタが?」
「ははっ、14年ぶりだなぁデカくなって」
バートンはテオの頬を両手で挟み、真正面から顔を見て嬉しそうに話かける。
目の色以外はそっくりな2人……誰がどう見ても親子だ。
「わあ、そっくりぃ」
リュディの後ろからパルがひょこっと現れて、見つめ合う2人を眺めた。
「パル……大丈夫なの?」
「うん♪結界?のおかげかな?すっごい楽」
パルはリュディの腕に抱きついてニコッと笑う。
久しぶりに近くで会話が出来て幸せ。
リュディもパルの腕に手を重ねて微笑み返した。
「良いお土産だろう?バートン」
「ああ、最高の土産だ」
バートンは再びテオをギュウッと抱いて、テオの背後に居るデレクシスに笑う。
その笑顔は泣き笑いのようで、その表情を見たリュディとパルは思わず顔を見合わせた。
「さあ!中に入ろう!ファンの王子と仲間達の歓迎パーティーだ!」
デレクシスはパンパンと手を打って集まった人々に叫ぶ。
集まった人々は銘々に返事をして慌ただしく要塞の中へ入って行った。
「おいで、テオドア」
バートンに手を引かれたテオは、戸惑って仲間達に振り向く。
仲間達は、いってらしゃーいとニヤニヤしながら軽く手を振った。