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THANK YOU !! ver. distance love
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-4



日本で次にある大会の練習に励んでいた拓斗は、休憩中に自分のケータイを何度も確認した。マイペースすぎる幼馴染みで、ケアマネージャーである愁に一体どうしたのかと聞かれる程。

あの日の電話以来、連絡が取れていない。
瑞稀の所属するオーケストラが最近人気が上がってきていて、世界中で公演をしているのは分かっているつもりだが、ここまで忙しくなるものなのかと疑問が強く心の中にあった。
メール一つ送るくらい、移動中でも出来そうなものだが。

「拓ー、何やってんの。剣道場の鍵閉めるよ」
「あ?あぁ・・いいよ、俺やっておくから先に帰れ」
「んー。じゃあ任せたー」

練習が終わり、道場には自分と幼馴染みの愁しか居なくなった。
色々と考え事をしたい時はこの幼馴染みが居るとそれどころではなくなることが目に見えているので、先に帰るように促す。
すると、愁は拓斗の意図に気付いているのかいないのか分からないが、拓斗に鍵を投げてよこした。
拓斗が慌ててキャッチした時にはもう、道場から出て行っていた。
相変わらずのマイペースさに苦笑してから、もう一度、自分のケータイを見つめる。
いっそメールを瑞稀に送ってやろうかと考えていると、丁度タイミング良くケータイが着信を告げた。
これで瑞稀からであれば物事が簡単に済むのだが、そうは上手くいかない。
溜息を大きく吐き出すと、電話に出た。

「もしもし、柊か?」
『久しぶり、鈴乃。どう、調子は?』(ここから『』は電話口を表す)
「上々・・ってとこだな。」
『言うね。あぁ、そうだ、世界大会2位おめでと。』
「おー、サンキュー」

電話の相手は珍しく、小学校以来の付き合いである柊秋乃だった。
瑞稀と拓斗のクラスに転校してから、二人の親友としていつも傍にいた、かけがえのない人でもある。また、拓斗の良き恋愛相談役でもある。

「で、またどうしたんだ?」
『どうしたも何も、お前TV見てないの?』
「は?いや・・さっき練習終わったばっかで・・」
『どうでもいいからさっさとTVのあるとこ移動してTV見て!』
「はぁ?」

練習が終わったばかりなのにも関わらずだというのに、相変わらず容赦がない。
長い付き合いであるが故に秋乃に言葉で勝てるハズもないと十二分に分かっている拓斗は慌てて道場を飛び出して、前を歩いている愁を呼び止めた。
何事かと思われたが、拓斗が必死にワンセグを見せろと言ったので、何かを察した愁が何も言わずに自分のケータイを開いてワンセグ機能を出してくれた。

「悪いな、愁」
「いいよ、別に。」
「おい、柊。チャンネルは?」
『4!』

電話口から数字が聞こえ、愁が数字と同じボタンを押してチャンネルを切り替えた。
それはニュース番組で、丁度芸能ニュースを報道していた。特に変わりはない、よくあるような芸能ニュースの報道。が、画面を見た拓斗が目を見開いた。


『いやー、驚きましたね・・、まさか我らが期待するトランペッターの八神瑞稀さんが何週間も前からコンサートメンバーから外されているなんて・・』(ここから『』はTVの会話を表す)
『本当ですよね・・。楽団員にお話を伺ったところ、ここのところ八神さんはスランプのようなものに悩んで体調を悪くしていたとか』
『スランプ・・ではないんですか?』
『それは楽団員の方もよく分からないようで・・。とにかくだいぶ前から悩んでいたとか。』
『そうでしたか・・。それにしても、いつ復帰するでしょうか』
『楽団員の方に訪ねましたが、八神さんがメンバーに復帰する予定の見込みはまだたっていないそうです』
『そうですか・・早いところ、スランプを脱して帰ってきて欲しいですね』
『えぇ。彼女の演奏をなるべく早く聴ける事を、楽しみにしていましょう』

そこで、ニュースは終わったようで、スポーツのニュースに入ってしまった。
だが、それも分からないくらい、拓斗は頭が混乱していた。なんとか、電話を耳に当てた。

『・・鈴乃、これ、なんか知ってる?』(ここから『』は電話口を表す)
「・・・知らない。何でこんなことに・・」
『鈴乃も知らない、か。お前・・彼氏じゃないの?』
「・・それは・・・」

今まさに、気にしている事を刺されてしまい、何も言えなくなる。
むしろその言葉は、瑞稀に言いたい。

『まぁ・・いいや。瑞稀と連絡取ってみる。じゃあね』

あっけなく切れた電話に拓斗は溜息を吐いた。が、すぐに思考は先程のTVの報道へ。
何故、悩んでいたというなら話してくれなかったのか。どうして自分に隠したのか。恐らく、あの日の電話の時点でメンバーを外されていたかもしれないのに、どうしてもっと聞かなかったのか。
疑問と後悔が次々と押し寄せてきて、拓斗は頭を抱えた。

「・・くそっ・・」

言葉を吐き捨てた拓斗の肩に、手が置かれた。拓斗が顔を上げると、何を考えているのか分からない幼馴染みの顔があった。

「気になるなら、八神に電話とかメールしてみたら?」
「・・・」

簡単な解決策を提案され、思わず拓斗は言葉に詰まった。が、今度は深い溜息を吐き出してすぐに疲れた顔になった。精一杯の皮肉を、愁に向けた。

「だから、お前と居ると考え事出来なくなるんだよ、バカ」





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