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ゆえとナオさん part3
【同性愛♀ 官能小説】

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第5話-1

「ナオさん、あれ…」
洗濯物を畳んでいると、リビングの真ん中の空中に、
一抱えもある、丸い水の玉が浮いています。
「…来たわよ。
おそらく美さきのお父さん(?)の世界からのアクセスよ」
「…」
ナオさんからは緊張の匂いがします。
私達はリビングで未知と遭遇します。

私は怖くなって、ナオさんの後ろに隠れます。
美さきちゃんも隠れます。

「そこにあるのは、なに?応えられる?」
ナオさんが聞きます。
我らがナオさんは、相手が宇宙人でも臆しません。

「察している通りだ」
「わあっ!」
男の人の声のイメージが、頭の中に直接浮かびます。
水玉の表面に、細かいさざ波が立っています。

私は聞いてみます。
「あなたは、そっちの世界の人なのですか?」

「違う。
私は代理だ。
私達の世界と君たちの世界とは、全てが違う。
違う世界に直接接触するのは困難だ。
私は、君たちの世界で言うAIだ」

「質問していい?
あなた達の世界の数体系と、私達の世界の数体系は違う?」
ナオさんらしい質問です。

「良い質問だ。
私達の世界と、君たちの世界とはそもそもの数体系が違う」

「その…、両方の世界の『ほころび』を利用してアクセスしている?」

「そうだ。
その境界を振動させることによって、
君達の世界に語りかけている。
君達の世界の構造は理解している。
君達の脳に直接語りかけている。
今、君達が見ているものは、便宜的なものだ。
君達は、シンボルが在る方がコミュニケーションし易い」

「脳に直接?大丈夫なの?
いつかの美さきみたいに、ぶっ倒れたりしないでしょうね?」
私は心配になって、隣でナオさんの後ろに隠れている美さきちゃんを見ます。

「それは確認している。
あれは不測の事態だった。
負担を抑えるために、君達のリソースを部位を変えつつ使っている。
君達のリソースはそれなりに容量が大きい」

「微小管のことを言ってるの?」

「それは君達の世界が決めることだ。
私達はあるものを利用しているに過ぎない」

何の話か解らないので、私は分かることを聞いてみます。
「美さきちゃんは、このままオカマちゃんに育っちゃうんですか?」

「それは君達の世界が決めることだ。
状況でそうなったに過ぎない」

「???」
「後で説明してあげるから。
あなた達が私達の世界を作った神様なの?」

「違う。
私達は君達の世界に関心がある。
自分達の世界に疑問を持つようになった存在は、調査の対象になる」

「つまりそれは、あなた達も神様を探しているってことね?」

「本質的に言ってイエスだ。
我々もまだ、世界を作ることには成功していない。
擬似的なものでしかない」

「ふむ、進捗状況はこっちと似たようなものなのね。
そっちとこっち以外にも、悩める世界は存在するの?」

「イエスだ。
中には自分達で世界の構造を変えたり、
自ら新しい世界を作り出し、移住に成功している例もある。
上部階層にシフトしたらしい世界の痕跡もある。
追跡調査している」

「そう。更に上部世界があるかもしれないの。
もっと知りたいけれど、今は十分だわ。
あんまり私達の脳を使わないで」

「そのほうが良さそうだ。
また、アクセスしよう。
美さきは良いパートナーに出会えたようだ」

空中の水の玉は消えていきます。
頭の中にあった存在感も消えます。
終わってみると、確かにどっと疲れが出ます。
風邪をひいて、頭がじーんとしたときみたいです。
「ナオさん…頭が少し痛い…」
美さきちゃんが訴えます。
「横になろう。私も疲れた。よく喋るAIだったわね」


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