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人妻苑―ひとづまのその―
【若奥さん 官能小説】

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初―うぶ―-3

「奥さんの洋服が汚れるといけないから、そこにあるエプロンを着けなさい」

 紗耶香のことを気遣う振りをして、島袋は自分の趣味を彼女に押しつける。
 華奢(きゃしゃ)に見えてじつはけっこう肉付きがいいということは、着衣から露出した紗耶香の手足を見ればよくわかる。
 細かい神経がいくつもかよっていて、肌の感度がどれだけいいのか、触らずともわかるような気がした。

 むしゃぶりつきたい──。

 島袋は口の中で舌をまわした。エプロン姿の紗耶香ができあがると、島袋はさらに夢中になった。

「私が利き腕を怪我したばっかりに、すまないね」

「いいえ、お茶の準備くらいは私にやらせてください」

 紗耶香にしてみれば、夫の代わりにポイントを稼ぐという意識もあった。
 新しい土地にはやく馴染むためには、何を差し置いてもコミュニケーションをないがしろにしてはいけない。
 地域のつながりが人のつながりになって、健全な町をつくるのだと教わってきた。

「役員会まではまだ時間があるので、どうぞ座っていてください」

 紗耶香がしゃべったあとの空気を吸い込んで、島袋は年甲斐もなく胸の震えをおぼえた。もちろん、座って待つつもりもない。
 目の前の若妻を目で犯さないことには、勃起した虫がおさまりそうにないのだ。
 どうやって乳房を料理しようか、どうやって股間を貫いてやろうか、そんなことばかり考えていた。

「すまないついでに、棚の上段の食器を出してくれんかね?」

 紗耶香が断れない性格だと知って、島袋はどうでもいい仕事を依頼した。

「怪我人にできることじゃないですもんね。いいですよ」

 紗耶香は、踏み台の場所を島袋に教わって、それを食器棚の前に置いた。

「おなじ絵柄の皿があるから、そこから三枚だけ出して欲しい」

「わかりました」

「危ないから、私が踏み台を片手で押さえておくよ」

「それじゃあ、お願いします」

 少し不審に思いつつ、恥ずかしい気持ちもないわけではないが、それでも人の役に立ちたいという紗耶香の気持ちは変わらなかった。

 腰を屈めた島袋の目の前を、しっとりとした色艶の二つの脚が通り過ぎていく。
 スカートの裾を上品に揺らしながら、踏み台に右足が上がり、左足が上がる。
 きゅっと締まった足首からふくらはぎまでを凝視して、そこからさらに見上げていけば、ぷるんとした肌質の太ももが清楚な装いで伸びていた。
 そうしてスカートの奥の暗闇に目を凝らすように、島袋は視線をつんと尖らせて、あわよくば下着を視界におさめようとする。

「あのう……」

 足元に違和感をおぼえた紗耶香は、白髪混じりの島袋の頭に声をかけた。

「しっかり支えているから、どうか気になさらずに」

 島袋の視線は踏み台に注がれていて、こちらを見上げる気配もない。ただの思い過ごしだったことに安心して、紗耶香はかかとを浮かせて、うんと手を伸ばす。
 雑用を雑用だと思わないところが、紗耶香の人柄の良さでもある。
 しかし、欲望のままに紗耶香を招いた島袋は、視力の衰えを補う老眼鏡のおかげで、見えることの喜びに満足していた。
 下着は見えなくとも、どんな色柄をしているのかを想像するだけで、よだれが口のまわりに浮いてくる。


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