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異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

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大陸無双の大会社-1

 古色蒼然の美を保つイスパニラ王都だが、もちろんそれは広い都内のごく一部だ。
 新しい建物や道も多く、商業地区には高層ビル群が、積み木のように連なっている。

 そのうちの一つ、銀色に輝くビルが、バーグレイ・カンパニーのイスパニラ支社だ。
 支社とは言っても、立派な60階建てビルで、セキュリティシステムも完璧。商業地区でも一際目立つ建物だった。


 貿易会社バーグレイ・カンパニーの名は、大陸全土どころか離島の国々まで知れ渡っている。
 大規模な貿易事業が主だが、個人的な依頼も受けつける。
 そして一度引き受ければ、どんな品でも確実に入手し、たとえ戦場のど真ん中でも、きちんとお届けしてくれるのだ。

 多くの会社がそうであるように、ここにも縁故採用はあるらしい。だが、重役の親類だろうが、能力にそぐわぬ地位には決してつけない。
 『適材適所』のモットーは、バーグレイ家が昔、大陸を幌馬車で行商していた時代からの理だそうだ。
 一見冷たいようにも見えるが、ここまで大会社になりながら、内部を腐らせない一番の薬だろう。

 ピカピカに磨かれたエントランスへ、エメリナは緊張しつつ足を踏み入れた。

 ****

 ギルベルトが薬草採取から帰ってきたのは、昨日の夕方だ。
 十日間のお留守番は寂しかったが、元気な姿にほっとしたし、お土産のお菓子も美味しかった。
 そのまま押し倒されて、あれやこれやも……腰が砕けそうになったが、気持ちよかった。
 そして、薬草はもう届けてあるが、明日はバーグレイ・カンパニーに報告へ行くと言われ、俄然元気が出たのだ。


 二〜三ヶ月に一度ほど、エメリナはギルベルトと共に、ここを訪れる。
 この日ばかりは、流石にいつものラフな格好というわけにはいかない。普段はクローゼットで眠っている藍色のスーツと皮パンプスの出番だ。
 タイトなスカートに光沢のあるストッキングを合わせると、童顔でチビな自分でも、そこそこ社会人らしく見える……と、思う事にした。
 髪もきちんとまとめ、手持ちの中で一番大人びた髪留めをつけている。


 吹き抜けのロビーは美しく豪華で、入り口からすでに別世界だ。
 大理石のカウンターには、馬の頭部を象った紋章が刻まれ、馴染みの受け付け嬢は、エメリナとギルベルトの姿を見ると愛想良く会釈した。

 何度来ても緊張するけれど、実をいえば、エメリナはこの訪問が楽しみで仕方ない。
 誰もが憧れる大会社というより、もっと重要な要素があるのだ。

 チラリと、隣りのギルベルトを見上げる。
  彼も本日は、グレーのスーツと濃い色のネクタイという姿だ。片手を首元にやり、窮屈そうにネクタイの位置を直していた。


(くはっ!!ネクタイ直し!!きたきたきたぁぁぁぁ!!!!)

 朝から何度も内心で叫び通しだ。
 何しろ今日は『ギルベルトがスーツを着る日』。
 エメリナが知るかぎり、ここに来る時だけのレアな装いである。

 普段とはまた違った、スーツならではのシルエットがたまらない。
 長身で均整の取れた体格のギルベルトには、非常に良く似合っていた。慣れないネクタイを直す仕草も、鼻血ものだ。

 できることなら人目もわきまえず、携帯……いや、いっそ一眼レフカメラで、パシャパシャ写真を撮りまくりたい!!

 今日こそ適当な理由をでっちあげて、一枚は撮ろうと決心する。
 バッグの中には、先日のゲーム大会で貰った携帯端末機も入っている。最新型だけあり、精度の高い撮影機能もついていた。

 画像ソフトをつかえば、スーツやネクタイを好きなだけ色変えできる。柄もさぞ似合うだろう!そうだ!いっそ眼鏡とか付けてみるのはどう!?


 ぐふふふと、ニヤケそうになるのを必死で堪える。
 おかげで朝から口の中を噛みすぎて痛い。



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