キモチノモンダイ-5
めきゃ
「ぶはあ」
そのランスの顔にリュディの拳がめり込み、ランスは仰向けに倒れる。
「どうぞ」
「あ……ありがとうございます……」
ここ5日間で見慣れた光景……リュディにむやみに触りまくり、嬉しそうにぶちのめされるランス。
(変態のうえにドエムでしたか)
まっずい薬湯を飲みながら、ノアはすっかりクセになった溜め息をついたのだった。
それからも野生の砂蜥蜴に襲われたり、ゴリラの身体に猪の頭をくっつけたような魔物に攻撃されたりしながらやっとこさ砂漠と密林の境目まで来た。
「ここからクラスタの要塞まで1週間ちょっとです。今日は早めに夜営にしましょう」
ノアの言葉に従い一行は夜営の準備を始める。
テオは羽馬の世話、ノアとリュディで食事の準備、ランスとパルはテント担当。
テントは2つ建てて男女に分かれる事にしていた。
「ふわっ」
食事も終わり、テントに引っ込んだテオは大きく欠伸をして地面に敷いた毛布の上に寝転がる。
完全砂漠の地域に比べここら辺は気温の差が無い。
ここからは夜も寝苦しい位蒸し蒸しする密林に入るのだ。
今夜はぐっすり……と、思っていたのに男子テントにパルがやってきた。
「テオ〜?ちょっと来て〜」
テオは指を折って日にちを数える。
(……そういや、そろそろか……)
パルの腹持ちは約1週間。
最後に食べられたのが6日前だしこれから密林だし、今のうちに……という所だろう。
テオは腹筋を使ってよいしょと起き上がり、もぞもぞとテントから出た。
「んだよ?腹減ったのか?」
「えっとぉ……とにかくちょっと……」
パルはそわそわしながらテオの腕を引っ張る。
「?」
行き先は女子テント……中からは何だかくぐもった声が聞こえた。
ぐいぐい背中を押されテントに入ると、そこには毛布で簀巻きにされて猿ぐつわをつけられたリュディの姿があった。
「……何のプレイだ?」
「あのね」
ことの起こりはリュディの好奇心だった……。