キモチノモンダイ-14
「はぁ……キツ……」
指1本動かすのも億劫だ。
そんなテオの額にパルが手を当てる。
「はぁ はぁ はぁ」
息をきらせながら目だけでパルを見ると、彼女はヘコんだ表情だった。
「どした?……不味かったか?」
「……美味しかった……」
「なら旨そうな顔しろ……食わせ損じゃねぇか」
「……ごめん……」
「あ?」
いきなり何だ?とテオは顔をしかめる。
「凄く……キツいんでしょぅ?」
「ああ……好きで食われてんだって……気にするな」
今更だ、とテオは笑ったがパルはヘコんだままだ。
テオは重い腕を持ち上げてパルの鼻をぎゅっと摘まむ。
「笑え」
「んぶ」
「お前は笑ってんのが……良い……安心しろ……お前以外に……食われてやるつもりは……ねぇ……から……」
言葉の途中で力尽きたテオは、パタンと腕を落として寝息をたて始めた。
パルは摘ままれた鼻を擦り、テオの言葉を頭の中で繰り返す。
パルの事だけ考える……パルだけに食われてやる……。
それはテオにとって特別な存在だと考えて良いのだろうか?
「……へへ……」
何だか嬉しくなったパルは、テオの鼻をきゅっと摘まむ。
「ふがっ」
嫌な顔で寝返りをうったテオに微笑んだパルは、ちゃんと服を着せてから毛布を掛け、テントから出た。
砂漠とは違う蒸しっとした空気だが、パルの胸にはキラキラと暖かい空気が詰まっていた。
‥To be continued‥