キモチノモンダイ-1
「ずっるぅいっ!!」
翌朝、目を覚ましたパルはひとつの毛布にくるまって寝ている2人を発見して、開口一番に言い放った。
「ずるいずるいずるい〜〜〜〜っ」
床に転がって子供の様にジタバタするパルを見て、テオは困った顔で頭を掻く。
ちなみに、リュディは知らん顔で服を着てさっさと旅の準備を初めている。
「あ〜…いや、悪かった……(のか?)」
テオは謝りつつも何が悪かったのか自分でも分からず、微妙な謝罪を口にした。
「2人でスルなんて〜ずるい〜アタシだけのけ者なんて〜」
「いや……普通、ああゆう事は2人でスルもんだが……」
「ただ出すなんて勿体無ぁい!ご馳走なのにぃ〜フルコースなのにぃ〜」
「それかいっ!!」
パルのぐずっている理由がやっと分かり、テオは思わずビシッとつっこむ。
「?他に何があるのよぅ?」
「あ、いや……まあ……」
他の女を抱くなんて浮気者〜とか、アタシとリュディどっちを取るの?!とか……良く考えたら恋人でもないのにあり得ない話だ。
パルにとってテオとヤルのは食事以外の何でもないのだから。
そこまで考えたテオは何となくムカつき、ぐずるパルに荷物を投げた。
「オレが誰とヤろうが勝手だろうが。さっさと準備しろ」
その言い草にパルもムッとして荷物を投げ返す。
「アタシには他の男食うなって言っといて!自分だけ好き勝手ヤルなんてやっぱりずるいっ!!」
「オレとお前じゃヤルの意味が違うだろっ!!」
「意味が違うなら尚更!テオの尻軽男!」
「なんだと!暴飲暴食淫乱魔物が!!」
ぎゃあぎゃあと言い合いをする2人を無視してリュディは荷物を整理し、サクサクと旅の準備……彼女の頭の中は既にベランナでいっぱいなのだった。
2羽の羽馬にはランスとリュディが乗る事になった。
ランスは王子様なので絶対、体力のあるテオとパルは論外、なので残ったリュディとノアが交代で乗る事になったのだ。
「辛くなったら……言って?」
「大丈夫ですよ。ボクは医療系魔法使いですから」
いざというときは魔法も使うし、最悪テオにおぶってもらう。
「それでも……ね?」
無理はしないでくれ、と言うリュディにノアは頭を下げた。