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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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上司-4

 田倉が勤める会社は広く名の知れた建設会社であり、ビル、住宅建設はもとより、各種プラント、リゾート開発、総合開発プランニングなどの事業展開を主に、掘削など大型工事や土木工事業、建設機器及び建材などのリース、また中堅では難しいリゾート開発、高速道路網、新都市計画なども行う企業である。公共事業や地質調査など幅広く事業を手がけ、もちろん環境問題にも力を入れて取り組んでいる。その中で田倉は開発事業のセクションにいる。
 顔を上げると目の前に下村沙也加の美しい顔があった。爽やかな香りが鼻腔をくすぐった。前に一度聞いて忘れてしまったがブルガリの何とかという香水らしい。清潔感ある女性の肌のようなにおいが田倉は好きだった。
「二回もお呼びしました」
「あ、いや、すまん」
「何かお悩みごとでも」
 沙也加がクスッと笑うの見て、決まり悪そうに人差し指で頬を掻いた。
「△△建材の担当者の方がお見えです」
「ずいぶん早いな。分かった、直ぐ行く」
「残りの資料をお持ちしますが、先方の分はいかがしますか?」
「うん、全部そろえてくれるかな。手渡す分はわたしが仕分けるから」
「承知しました」
 沙也加は一礼をしてからドアに向かった。
 田倉は秘書のスレンダーな後ろ姿に視線を向けた。体に密着したビジネススーツに身を包む、日本人離れしたスタイルを眺める――盗み見る――のが田倉の楽しみの一つでもあった。高い位置にあるヒップラインに視線をあてて首を振った。
 高層ビルの広々とした空間を、明るい色のパーティションで区切ってあるクリーンなイメージのフロアが田倉がいるオフィスである。そのフロアから出てピカピカに磨かれたリノリウムの幅広い通路の反対側に部長室がある。
 フロアを通り応接室へ行く途中、佐伯と目が合った。笑みを浮かべ小さく頭を下げたので田倉も口角を上げて頷いて見せた。
「もう少し強引さがあるといい」と指導したこともある。そのことは本人も自覚しており、性格上なかなか難しいようである。この規模の会社で佐伯の年齢での係長は、やや遅めの出世かもしれない。直属の部下だけに歯がゆい思いをしている。
 だが、先日の休日に佐伯の家族と偶然会い、出世街道を突っ走ってきた田倉の矜持が揺らいだ。
 業務ではひとつインパクがない佐伯だが、あのような幸せな家庭を築くことができる。その現実に田倉は衝撃を受けていた。同時に心から羨ましく思った。
 利発そうな娘の恵は、凡庸な風体の佐伯からは想像できないほどの美少女だった。短めのスカートから見える小麦色のすらりと伸びた脚は田倉の目にはあまりに眩しすぎた。
 そして、佐伯の妻――奈津子。
 田倉は呼吸を整えるように大きく深呼吸をし、来客が待っている応接室のドアノブをつかんだ。


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