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10年目の恋
【ファンタジー 官能小説】

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月夜の雫-1


「シンプルな部屋だね」

確かに。色はそこそこあるものの、女の子らしい小物があまりなくて
ごちゃごちゃしていないあたしの部屋は
徹にもいつも「相変わらずシンプルだな。でもなんか懐かしい」って言われる。

「何か食べる?」
「餌くれんの?」
「拾ったからにはね」
冷蔵庫を見ながら、チャーハンぐらいしかできないけどというと
上等です。と返ってきた。

チャーハンにセロリの葉をみじん切りにして入れる。
徹に教わった、徹の好きなチャーハン。

「へ〜。セロリ入れるんだ。変わってる」
「食べられる?」
「俺、セロリ大好き」

本当に犬。
あたしの2食分の量をぺろりと食べてソファーにゴロゴロしだした。

「お風呂に入っておいでよ。下着持ってるの?」
「家出だからね。持ってきた。お風呂も入っていいの?」

笑いながらいいよ。というと
ポチはカバンから下着を出してバスルームに向かう。

あ。徹にメールの返事をするの忘れた。

お気を付けて。

簡単な敬語は言葉の丁寧さとはうらはらに
多少のイヤミも含んだ。






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