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異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

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週末デートの締めくくり-4


 寝室に上がるのは、これで二回目だったが、今度は酔ってもおらず、エメリナがちゃんと自分の足で歩いて入った。

 同じように湯をあびたギルベルトからは、石鹸の良い香りがする。
 エメリナの身体から、巻きつけていたバスタオルが落とされ、下着が露になる。
 いつも使っている簡素で色気のない下着ではなく、繊細なレースやリボンで飾られたものだ。
 これも服を買いに行ったとき、ローザが同じフロアの店まで付き添い選んでくれた。
 いわゆる勝負下着が、琥珀の視線にさらされ、恥ずかしさに消え入りたくなる。

「あの……あんまり見ないでください……」

 顔を背け、小声で呟いた。
 室内では電気の代わりに、魔法の灯火が柔らかな光を放っている。

「あと、できれば灯りも消して、目も瞑ってて欲しいんですけど……」

「……その状態で、どうしろと言うんだい?」

 さすがに呆れたような顔をされた。

「う……そうですよね……すいません……」

 上半身だけ裸の彼に、抱き寄せられた。
 この前の時、ギルベルトは服を着たままだったから、無駄のない引き締まった体と初めて直に触れ合った。素肌の感触に鼓動が跳ねる。
 大きな掌が、ゆるやかに背中を滑る。額に頬に、かすめるだけの口づけを落とされ、ゆっくりと緊張が徐々にほぐされていく。

「もちろん色っぽいと思うし、興奮するけど……」

 ギルベルトが指先で、花の形を連ねたレースの肩紐を軽くつまんだ。

「エメリナくんが、俺に抱かれるために用意してくれたのが嬉しいんだ」

 また百点満点どころか、それ以上の褒め言葉をくれた人に、羞恥も忘れて見惚れてしまった。

 魔法灯火の下で、琥珀色の両眼が優しげな光をたたえている。しっかりと欲情が見えるのに、あの時のような凶暴さはどこにもない。

 口づけられ、催促するように下唇をペロリと舐められた。
 反射的に薄く唇を開くと、舌が侵入する。
 濃密だけれど、優しく丁寧で、慣れていないエメリナを気遣うように、時おり休憩を与えながら口内を愛撫される。

 下着を外され、裸身を余すところなく晒しても、怖くなかった。
 胸の先端を舐められ、ずくんと腰が重くなる。
 暗灰色の髪をかき抱き、自分から押し付けるようにさえしてしまった。

 丁寧で執拗な愛撫に陶然として、恥ずかしいのにもっとして欲しいと思ってしまう。
 懇願するように裸身をすりつけ、唇をあわせて舌をからめた。
 片足を大きく開かされ、内腿の付け根を強めに吸われる。シーツを握り締め、背を仰け反らせた。

「あ、ん、ん……そこっ……や……あ、あ……」

 じんじんと身体の奥が疼き、とめどなく蜜があふれる。濡れそぼった秘所に、ぬるりと舌の感触を感じ、飛び起きそうになった。

「やっ!?あ!だ、だめ……っ!!」

「今日はちゃんと慣らすから」

 充血した蕾を吸われ、差し込まれた指で内部をかきまわされると、腰が砕けそうになる。
 悲鳴のような嬌声をあげ、ガクガクと身体を震わせて何度も達した。

「も、もう……あ、大丈夫……です、から……」

 しまいに息も絶え絶えになり、必死で両手を伸ばしてすがりつく。
 気持ちよすぎて溢れ出た涙で、ギルベルトの顔がぼやける。
 硬い熱を強請るように、男の腰へ夢中で脚を絡めた。

「ギル……欲しい……」

 途端に、貪るように激しく唇を奪われた。
 覆いかぶさったまま、口づけの合間に低く掠れた声が囁く。

「どうしてそう、俺を煽るのが上手いんだ……」

 腰を抱えられ、じりじりと楔が埋め込まれる。圧迫感に眉根を寄せ、逞しい背に両腕を回してしがみついた。
 汗ばんだ互いの体が密着する。
 蠢く自分の胎内が、ギルベルトを受け入れ喜んでいるのを感じた。あまりの陶酔に眩暈がする。
 揺さぶられながら唇を合わせると、全身が蕩けてしまいそうな気がする。

「エメリナ、口の中が感じやすいんだな」

 呟かれ、指先で舌をなぞられた。
 硬い爪の感触に、ヒクンと舌が震える。知らずに舌を突き出し、悪戯する指の動きに応えるように、身体の中の雄をきゅうきゅう締め付けてしまう。

 一度注ぎ込まれても、まだ互いに離れられず、萎えないもので再び責め抜かれた。
 涙で滲む視界中、ほんの時おり、ギルベルトの瞳に捕食獣の光が宿るように感じる。
 彼も興奮しきっているせいだろうか、エメリナの首筋に軽く歯を立て、息がとまりそうなほど強く抱き締める。
 けれど、どれも決してエメリナを傷つけず、ただひたすら快楽に溺れさせるだけだった。

 激しすぎる性感に頭が真っ白になり、いつ寝入ったのかもおぼえていない。
 気づけば翌朝になっていた。
 しかし今度は一人でなく、眠っているギルベルトに抱き締められていた。

 *** 

 ――そんな詳細はとても口にできないから、ローザには非常にぼやかした表現で、お泊りしたと伝えた。

「おかげさまで、上手く行きました。最高の親友に感謝です」

 そう言ってしめくくる。

「いいってことよ。お店の売り上げに貢献してもらったし、パフェも奢ってもらったし」

 ローザは満足そうに頷き、今度はバニラアイスを口に放り込んだ。

「あ、そうそう。アンタの『綺麗になりたいのーっ!』ってセリフ。お店で流行っちゃった」

「うそっ!?」

「あはは!あんた、うちの店で有名人だよ〜」



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