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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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オモワク-7


「あれ?」

 植物のくせに戸惑ったようにのたくった蔦は、ぼたっと地面に落ちておろおろしている。
 そこですかさずノアが動いた。
 どこから取り出したのか知らないが、火挟みで蔦を摘まみこれまたどこからか現れた瓶にほいっと入れる。

「パルさん、リュディさんがお飲みになっている薬を頂けますか?」

「ふにゃ?」

 ノアの動きをぼんやり眺めていたパルは、蕩けきった顔で間抜けな返事を返した。
 愛撫の受け過ぎでとろとろどころかデロデロ……リュディが暴走しているというのに身体が震えて動かない。

「あぁ、確かココだったよな」

 テオは愛撫に使ってない手でパルの懐を探った。

「ひあっ?!」

 テオの大きな手が胸元をまさぐり、時折乳首を擦る。

「あった。コレだろ?」

「ありがとうございます」

 悶えるパルを無視してテオは薬を取り出し、ノアに放った。
 それを受け取ったノアはさらさらと瓶の中に半分ぐらい入れて詮をする。

「ノ〜ア〜、2体目ぇ」

 リュディの口から次々と零れ出る子株をノアは1体ずつ瓶に詰めていった。
 暫くするとリュディの目がとろんと溶け、意識を失いがくんとランスに倒れる。

「リュディ!」

 パルが地面を這うようにしてリュディの元に行くのを、テオは止めなかった。

「リュディ!」

「寝かせておいてあげて。株分けし過ぎて体力消耗しただけだからね」

 ランスは人差し指を口に当ててにっこり微笑むと、腕の中のリュディの髪を撫でる。

「はぁ〜……なあんて美しい……」

 うっとりと頬を染めるランスを、パルは目を瞬いて眺めた。

「ねえ、何でアンタは大丈夫なの?」

 普通なら吸血蔦に寄生されて今頃泡沫の世界に旅立っている筈。
 なのに吸血蔦はランスを避けていた。

「ああ……身体にね、植物が嫌がるオイルを塗っているんだ」

「オイル?」

「そう。ハッカみたいな匂いがするだろう?」

 そう言われたパルはランスに近づいて鼻をくんくんさせる。

「あ、ホント……スッとする」

「肉食系の植物はこの匂いが苦手でね」

「ふうん……詳しいんだね」

 そんな話をしている間にテオがリュディの寝床を準備し、ランスは名残惜しそうにリュディをそこに寝かせた。



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