投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 96 アネクメネ・オアシス 98 アネクメネ・オアシスの最後へ

オモワク-12


「私の物語に王子様として登場しておいて……このままスルーしたら……世の中の子供達が幻滅するって……」

 だから、格好良く英雄を助けて物語をめでたしめでたしにしたい、とランスは言ったそうだ。

 それを聞いたテオは声を出さないように腹を抱えて笑った。

「くくくっ下手な絵本より酷ぇな」

 だいたい、リュディは英雄というよりお姫様だし魔物が姫役だなんて酷過ぎる。

「でも……少し気が楽になった……」

 リュディを助ける為に身体の半分近くを失ったパル……その後もリュディが元の身体に戻れるように付き合ってくれている。
 パルはリュディを両性具有にしてしまった負い目があるだけかもしれないが、リュディはとても感謝しているし彼女が大好きなのだ。
 その彼女を自由にした……そう考えた事などなかったが、そう考えるとあの事件の事が良い事だったような気がする。

「オレもリュディの物語の登場人物として格好良い方が良いし……後、クラスタに行くのは実のところ大賛成なんだ」

 テオは昨夜パルに話した事をリュディにも教えてやった。

「まあ、魔物父も大好きだし家族に不満は全然ねえんだが……自分の父親がどんな人間なのか知っておきたいんだ」

 もし、人間的に最悪だったとしても、受け止める自信がある。

「その気持ち……分かる……」

 リュディも父親を知らずに育った……だからテオの気持ちは良く分かる。

「そういうワケでおあいこだ。オレもリュディも……ランスだって結局は自分の為だ」

「そう……そうだね……」

「さあ、寝ようぜ?明日は早い」

 話を打ち切ったテオは、もぞもぞと毛布にくるまるが、リュディの手がそれを止めた。

「?」

「じゃあ……自分の為に……」

 そっと囁いたリュディはテオに半分のしかかって、彼の髪を掻き上げ、するりと頬まで撫で下げる。

「リュディ……?」

 明らかに誘う仕草にゴクンとテオの喉が上下に動いた。

「テオなら……大丈夫な気がする……」

「な……何が?」

「……分かるでしょう?」

 ゆっくり顔を近づけたリュディは、そう囁いてテオと唇を重ねた。

「んっ」

 少し冷たい唇が何度か食むように動き、躊躇いがちに舌がぺろりとテオの唇を撫でる。



アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 96 アネクメネ・オアシス 98 アネクメネ・オアシスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前