オモワク-11
その日の砂漠の夜は異常に寒くなった。
ランスが羽馬を1羽貸してくれたので、3人で羽馬にもたれて寝る。
その3人に羽馬が翼を被せてくれて、正に羽毛布団だ。
「ぬっくぬくぅ〜」
パルは羽馬の首に抱きついて居心地良くなるように少しうにうにし、速攻で寝息を立てる。
リュディはパルの肩に毛布を掛けてやり、その横に陣取った。
そして、テオがリュディの横に身体を置くと、彼女がふいにテオ側に身体を向ける。
自分の毛布で半分顔を隠したリュディは、じっとテオを見ていた。
「何?」
テオはドキッとしつつも、平静を装おってリュディに問いかける。
「ごめんなさい」
「何が?」
「私の……トラブルに巻き込んで……」
「ああ……気にすんなって言ったろ?こういうのは必然なんだと思うぜ?じゃなきゃランス達にこんな場所で再会するなんてあり得ねぇよ」
神様なるものが居るとしたら、こうなる様に仕向けたとしか思えない。
「……ランス様って……変な方ね……」
ポツリと呟いたリュディの言葉にテオはクスクス笑った。
「ファンの王室自体が変だからなぁ〜」
ファンの国王がゲイなのは有名な話。
ランスは王弟の子供になるのだが、国王がゲイで子供が出来ないので次期国王はランスなのだ。
「それもだけど……全部……話したの……」
パルとリュディの秘密を全て話し、そんな自分達のトラブルに王族を巻き込むワケにはいかないと伝えた。
「なんつった?」
とても辛く酷い目に合った事には同情する。
あの事件はリュディにとっては父親が殺され、自分も汚され……あまつさえ植物を体内で飼う結果になった酷い事件だったが……。
「パルを自由にする為に必要だったと思ったら……英雄みたいで気分良くないかい?……って……言われた」
英雄は囚われた姫君を助け出す為に、植物達の力を借りて悪を退治しました。
その為に払った犠牲はとても大きいものでしたが、その後沢山の仲間達に支えられ、姫君と英雄は幸せになりましたとさ……めでたしめでたし……的な……。