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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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オモワク-10


「いやいや、本当にリュディヴィーヌ嬢は素晴らしい。普通、株分けするような球根タイプは種つけないんだけどねえ。リュディヴィーヌ嬢の遺伝子操作は奇跡の手腕ですよ」

「そんな……」

 だから、誉めている場合でもないし照れている場合でもない。

「おまっ……今までどれくらい株分けした?」

 やっと口を開いたテオが震える指でリュディを指した。

「あの……故郷で5、6体……でも、そっちは大丈夫……かなりの火事だったし、火には弱いから……ただ……」

「エザル!!」

 リュディの言葉の途中でパルが悲鳴のような声をあげる。
 そう、エザルで株分けした子株は放置してきた。
 抜かれて燃やされたなら良いが、多分、珍しいという事で保存されている可能性が高い。

「直ぐに行って処理しねぇと……っ」

「ノンノン、テオドア。一度地面に根を張った吸血蔦は簡単には処理出来ないよ?」

 燃やしても地上に出ている部分が消えるだけで、地中にある球根が新たに獲物を見つけるだけだ。
 そこもオリジナルの吸血蔦と違う、ザルスの特徴を引き継いだ部分だ。

「じゃ、どうすんだよ?!ほっといて良いのか?!」

 良いワケ無い……元々この世界にない植物だ。
 これだけの繁殖力を持っていたら生態系が壊れ、下手したら世界が滅びる。

「勿論!対応も考えたとも、テオドア」

 そう言ったランスはリュディに合図し、彼女は懐から何かを取り出す。
 彼女の手には干からびた赤い実……ベランナがあった。

「これがベランナの実……生成次第で猛毒になるし……強力な麻酔薬にも……そして、除草剤にもなる……」

 それを注入すれば球根から根っこの先までカラカラだ。

「……でも……これじゃ足りない……生成設備も……」

 巨大な吸血蔦を根まで枯らすには、ベランナがもっと必要。

「だから、予定通りクラスタへ行くよ!さあ!早く食事をして早く寝よう!明日は早いよ!」

 いったい誰のせいで1日無駄にしたと思っているのか……テオはがっくりしつつももそもそと食事を始めるのだった。



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