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It's
【ラブコメ 官能小説】

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△△△△-6

薬を飲むと、魔法にかかったように身体が軽くなる。
陽向は使った食器を洗い、その他にもずっとやろうと思っていた片付けなどにも少しだけ手をつけた。
ずいぶん片付いたな、と思い時計を見ると11時。
陽向はソファーに寝転んで携帯をいじった。
楓からメールが来ている。
『ひな、また寝坊?』
今日は対策授業の日だということを忘れていた。
「ごめん、今日行けない。おとといくらいからずっと熱下がんなくて、家から出れない(*_*)」
『え?うそ?!大丈夫?お見舞い行こうか?何か欲しいものある?買ってくよ!』
「平気だよー。ありがとね!」
『早く治しなね。何かあったらすぐ連絡して!』
「ありがとう」と返事を送り、陽向はまたウトウトとし始めた。

ーーーピンポーン
インターホンの音に気付き、目を覚ます。
誰だろう…。
起き上がると、恒例の頭痛に襲われた。
薬が切れたに違いない。
ヒーヒーいいながら玄関まで行き、ドアを開けるとそこには楓、千秋、奈緒が立っていた。
「ひな!大丈夫?!」
「あー…みんな。ありがとー…」
陽向がヘラッと笑うと「なんかすごい具合悪そーな顔してるね」と奈緒が苦笑いした。
「あはは…」
「どーしちゃったのよ、もー…。てか熱ってどんぐらいなのよ?」
「んー…39℃」
「えぇっ?!そんなに?…変な病気じゃないだろーね?」
奈緒が心配そうな顔をして陽向を見た。
「今、熱は?」
「わかんない。けど、また上がったっぽい。ただの風邪だと思う」
今度は千秋が「こんな玄関先でごめんね、辛いでしょ?」と言った。
「へーきへーき」
「家のこと出来てる?大丈夫?なんならあたしたちがお手伝いさんになるよ?」
「あははっ、大丈夫だよ。湊が来てくれてるから」
陽向が言うと、3人は「ふーん」とニヤニヤした。
「何その笑いは」
「それじゃあ大丈夫だ。愛の力で熱なんて吹っ飛ぶね」
「なにそれー」
「むしろ熱上がるかもー!」
「あはははははっ!」
玄関先で長い立ち話をしていると、3人には悪いがだんだん具合が悪くなってきて、話など右から左へと抜けていた。
ぼーっとしてしまう。
「ひな?大丈夫?」
異変に気付いた楓が問う。
「ごめんね、長々と。これ、お見舞い」
楓に、スポーツドリンクやアイスなどが入ったコンビニの袋を渡される。
ずっしりと重い。
「あ…ありがと」
「早く元気になって、みんなで飲み行こーね。ひなの復活祭」
「うん」
千秋と奈緒も「待ってるよ」と言って陽向の頭をポンポンと叩いた。
「じゃーね。またメールする」
「うん!来てくれてありがとね」
3人に手を振り、別れを告げる。
悪寒に襲われながらリビングに戻り、体温計で熱を測ると38.5℃まで上がっていた。
もう、なんなんだ…。
陽向は毛布に包まってガタガタ震えた。
息が荒くなる。
熱の出始めは必ずこの悪寒に襲われる。
あと数十分もしないうちに、39℃台に突入するだろう。
音のない1人の空間で猛烈な悪寒に耐えていると、何かを境に身体がじっとりと熱くなるのが分かった。
辛過ぎてもう無理だ。
黙っているのも辛い。

湊…早く帰ってきて…。

心の中で何度そう呟いただろう。
ぼやんとした頭の中で湊が帰ってくるのを想像する。
「陽向…。大丈夫か?」
「あ…ぅ…」
なんか、息が苦しくなってきたな…。
「おい!陽向?」
ペチペチとほっぺたを叩かれている。
ようやく気付いた。
湊が帰ってきている。
「湊…なんで?」
「は?なんでって…」
「あれ?…もうそんな時間?」
「早上がりさせてもらった」
時計を見るとまだ18時だった。
「メールの返事ねんだもん。何かあったかと思った」
「ごめん…。寝てた」
「よかった…」
陽向は湊に抱きついて息を整えようとした。
が、難しい。
軽く発作を起こしてしまっているようだ。
ヒューヒューと喉が鳴る。
「大丈夫?」
「ちょっと…苦しい…」
湊は立ち上がると棚の中から吸入器を取り出して陽向に渡した。
少しして呼吸が楽になる。
と同時にものすごい脱力感に襲われる。
その場に丸くなって寝ると、湊が頭を撫でてくれた。
「ん…」
「薬飲んだ?」
「まだ…」
「飲みなさい」
少しの水と一緒に薬を飲み、また横になる。
「明日」
湊は高熱で潤んだ目をした陽向を見て口を開いた。
「もう一回病院行こうな。いつまでたっても熱下がんねーのおかしいだろ。これ以上続いたらやばいだろ」
「でも…明日バイトでしょ?」
「んなのどーでもいーだろーが。休みもらったし、へーきだよ」
「ごめん」
「謝んなよ」
「ごめん…」
「だから…」
「湊…ごめんね…っう…うぅ…」
「あーもー…何で泣く」
辛いのと湊に申し訳ないのとで涙が溢れてくる。
泣いたら更に頭が痛くなる。
「辛いよ…。もう、やだ…」
湊は泣きじゃくる陽向を優しく抱きしめて、火照った背中をさすった。
「泣いたらもっと辛くなるぞ」
「…っうぅ」
しばらく湊の腕の中で泣き、落ち着いた頃、湊が抱きかかえてベッドまで連れて行ってくれた。
毛布をかけてくれるが、熱のせいで暑い。
湊が電気を消してくれる。
「おやすみ」
「おやすみ…」
寝てしかいないはずなのに、また眠くなる。
陽向は重い瞼に素直に従った。


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