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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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処刑開始-5

優子は震える陽子に抱きしめられたまま、女達の処刑の様子を目を見開いて見ていた。

マスターが豹変して恵里香の髪を掴んで座席叩きつけた姿を見た時には、女として恐怖のあまり身を強張らせた。

しかし、恵里香を犯しているマスターの背中を見ている内に、居ても立っても居られなくなり、傍によって抱きしめて止めたい衝動に駆られた。

その衝動のままに、自分を抱きとめる陽子を振り切ろうとしたが、陽子の予想を上回る力強さに優子は身動きが取れなかった。

「我慢して」

震える陽子の声を聞いて、優子は乱れた心を落ち着かせようとして深呼吸を繰り返した。

前回とまるで違う車内の雰囲気を見ている内に、この痴漢専用車両について不明瞭だったことが何となくわかってきた。

陽子がなぜ自分を呼んだのか。その陽子が今自分を止めているのはなぜか。優子は修羅場を見ながらそれを懸命に考え続けた。

「よ、陽子さん、もう大丈夫ですから離して下さい。どういうことか大体わかりました。全部は無理ですが…」

陽子の体がピクリと動き、腰が抜けたようにへなへなとその場にしゃがみこんだ。

「ごめんなさい。入会の浅い優子ちゃんを巻き込んじゃって…」

「いいえいいんです。これこそが本来の【痴漢専用車両】の姿なんですね。そしてプレイヤー達は痴漢の冤罪を受けて人生を棒に振った人達。この車両の目的はその冤罪を作った者を断罪するために存在するんですね」

優子も力を抜いて自分が気づいたことを淡々と語りだした。

「そうよ。人生を棒に振った人と、その身内の人たち」

「こんなに居るんだ、『T』に恨みを持つ人たちが…」

陽子は修羅場の中でも、その恐怖に飲み込まれることもない聡明さを持つ優子に改めて感心した。

「あれから色々考えてたんですけど、『T』はターゲットの意味だったのね。冤罪を受けたプレイヤーのターゲットは、もちろんその冤罪を作った人達」

優子はサイトの中のプレイヤー会員限定のリンク先に『法廷情報』『ターゲット情報』が有ったのを思い浮かべた。

意味がわからなかった『法廷情報』は痴漢冤罪の法廷の情報を交換し、『ターゲット情報』は『T』の特定と車両に導く方法の情報交換の場だと、今なら容易に想像ができる。

当初優子は、ターゲットのことを、次にゲストにしようとする人物を指していると思っていた。自分もその標的にされて勧誘されたと思っていたが違っていたようだ。

「前回初めて【痴漢専用車両】に乗った時、マスターは車両の扉が締まる直前に言ったわ。優しい目を一瞬だけ暗くして『これは闘いだ』って。その時は痴漢をするのが『闘い』って意味が全然わからなかったけど、こういうことだったのね」

「そんなこと言ってたの…」

「で、でも、『T』を懲らしめてるマスターの背中が苦しそう…。まるで辛くて泣いてるみたい…」

恵里香を犯しているマスターの背中を見ながら優子の目に涙が溢れてきた。

「どうしてあんなに苦しんでまで闘わないといけないの?冤罪を受けたマスターに一体何があったの?」

「マスターはこれを乗り越えないと次に進めないの」

「えっ?」

「これを始めるまでのマスターは廃人のようだったわ。でも、これを始めた事によってマスターの心は辛うじて均衡が保たれるようになったの」

「廃人って…」

マスターの優しげで紳士的な雰囲気からその姿が想像できなかった。

「あっ、ちょっと待って…」

優子と話しながらマスターの様子を見ていた陽子は、突然話を打ち切った。

「優子ちゃん、一緒に来て」


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