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アイツがあたしにくれた夏
【コメディ 恋愛小説】

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崩壊(性描写あり)-2

そんな熱いキスに、あたしの膝がガクガク震えて今にも崩れ落ちそうになる。


その度に駿河はあたしの身体をしっかり抱き止めてはさらに何度も何度も激しく優しいキスを降り注いできた。


上唇や下唇、舌や歯の一つ一つの感触を確かめるが如く駿河の唇や舌が蠢く。


唇の端から、ツ……と漏れだす雫すら舌先で絡め取られるような淫らなキスに、あたしの身体の内部がゾワゾワと疼き出して来た。


「……はっ……」


唇を吸われる音に紛れて、あたしの弾んだ吐息が混ざり始める。


それに気付いた駿河は、ふとキスを止めるとゆっくり顔を離し、街灯でキラリと光った、唇と唇を繋いでいた銀色の橋を拳で拭いながらあたしを見た。


その瞳があまりにも優しくて、あたしはなぜか涙がポロリと零れてしまった。


「小夜……」


「駿河……、あたし……もう……」


タガが外れてしまいそうになる寸前で、なんとか言葉を呑み込み、ギュッと目を瞑る。


この先は言えない。言ってはいけない。


これは単なる恋人ごっこの延長に過ぎないんだから。


なのに、火が点いてしまった身体はもはや抑えることができないほど熱く疼いている。


あたしの中で理性と本能がせめぎ合う。


その度に脳裏によぎる、駿河とのやりとり。


大人げない攻撃も、ムカつく暴言も、なんだか全て愛しくてたまらない。


……もっともっと、彼に触れたい。


うすうす気付いていた自分の気持ちは、駿河のキスでハッキリと確信に変わった。


理性すら凌いだあたしの想いは、自らの足をつま先立ちにさせた。


あたしも、駿河が好きなんだ。


言えなかった言葉の代わりに、初めて自分から駿河を求めたぎこちないキス。


彼はそれで全てを理解したのか、そのままあたしのことをギュッと抱き締め、


「これから、俺ん家来るか?」


と、耳元で囁いた。


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