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果葬 ―かそう―
【その他 官能小説】

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―15―-7

「ほんとうの私のことなんて、何も知らないくせに」

 香澄が口答えをしてきた。

「こんな私でも、悪いことをしたくなる時だってあるんだから」

「まったく想像がつきませんね」

「壊れたおもちゃを私がどこへ棄てているのか、それだって調べてあるんでしょう?」

 付き合いきれないなと思いつつ、北条は仕方なく頷いた。

「全裸の青峰由香里が見つかった早乙女町の公園、あそこは以前から不法投棄がひどかったと、彼女を発見した主婦が話していました。その主婦にもあなたの顔写真を見せました。そうしたら、卑猥な形をした玩具を投棄しているあなたの姿を見かけたことがあると、そんな台詞が返ってきました。どうです、これで満足ですか?」

 刑事の軽薄な言い方が気に入らなくて、香澄は思わず腰を上げた。
 北条の目線の高さに、香澄のくびれのあたりがくる格好だ。

「私の性癖を教えてあげる」

 それは異世界からのささやきのような響きだった。
 北条は瞬きもできずに、ただ前だけを直視していた。

 女物のカーディガンが見える。胸元のボタンが外され、花柄のカットソーがのぞくと、躊躇うことなくそれをたくし上げる未亡人。

 ブラジャーに包まれた乳房、そのすぐ下に、赤い林檎が浮かび上がっている。
 いいや、それこそが近親相姦を物語る忌まわしい痣だった。

 肉体は若く美しいままなのに、香澄にふさわしくないものが沈着していたのだった。

 女はさらに色を仕掛ける。スカートに指をかけただけで、それはいとも簡単に脱げ落ちた。

 そこは女の恥部であり、面積の狭いショーツで覆われている。
 片脚ずつ折り曲げながらショーツを下ろしていくと、淫らな花園があらわれた。
 うつむく花びらが今にもこぼれそうだ。

「待ってください」

 北条が沈黙を破った。

 けれども香澄は従わない。すぐそばのバッグに手を入れて、ふたたび取り出した手には黒いディルドを握っていた。
 喉が渇いたと言って中座した時に仕込んだのだろう。

 いびつな男性器をかたどった彫刻のようにも見えるそれを、香澄が椅子の座面に立てると、わなわなと腰を落としていく。

「もうやめましょう」

 北条の制止も虚しく、香澄はとうとう異物を受け入れた。

 あうっ、という香澄の儚げな肉声が聞こえた。
 そこにおさまるのが当然であると思えるほど、雨天のようにぐずついた膣には黒いディルドがよく似合っていた。

 いじめて欲しくて我慢できない──香澄の表情はそういう種類のものだった。今にも泣き出しそうにしている。

 上体を上下に揺すり、豊かな愛液を太ももまで垂らして、熟れた肉のわななきが聞こえてくる。

 ねっとり……ねっとり……。

 ねち……ねち……。

 くちゅ……くちゅ……。

 ちゃぷ……ちゃぷ……。

 疼きを訴える香澄の声があとから追ってくる。気持ちがどこにあるのかを北条に知って欲しいのだ。


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