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小さくて大きな恋
【初恋 恋愛小説】

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小さくて大きな恋-1

もう、聞こえない。あなたの足音。
あなたの声、歌。あなたの仕草も、近くで見れない。
距離が、離れてく気がするよ・・・
ねぇ、甲斐―――

あたしの名前は木村麻菜。
今は中学3年生。まだ15年しか生きてないけど、一番強烈に残ってる思い出がある。
それは、とても嬉しかった思い出。すごくキレイで、だけど思い出す度に切なくて・・・

このときあたしはまだ12歳。小6。

タッタッタッタッタ・・・・・・
後ろで駆け足している人の足音が、アスファルトの道路の上で鮮明に聞こえた。
タッタッタッタッタ・・・
次第にその足音は大きく聞こえるようになった。そして、あたしの後ろで歩き出す。
タッタッタッタッタ・・・タン・・タン・・・タン・・・
(後ろにいるの、誰?)
振り返ると、そこには甲斐がいた。
なんでか知らないけど、女子から人気があるらしい・・・・
「・・・よう」
「あれ、甲斐じゃん。」
「何だよ」
「別に 笑」
クラスメイトの甲斐。5年の時まで大嫌いだった男。
今は・・・普通ってやつ?
「甲斐、サッカーの練習は?」
「さぼりっ あのジジイ(コーチ)うるせーんだもん」
「はははっ 笑」

いつの間にかあたしたちは横に並んで歩いてた。
いろいろな話をしながら、一緒に帰った。

「じゃあ・・・俺、こっちだから」
「あたしこっちー。ばいばいっ」
「おう・・・」

分かれ道。あたしたちは別れ、それぞれの家へと帰った。
「甲斐とあんなに話したの、初めてだなぁ・・・」
そんなことを思いながら帰ったのを、今もはっきりと覚えてる。
これが、あたしの大切な思い出の始まり―――

その日から、あたしたちは一緒に帰ることが多くなった。
あたしが前を歩いていたら甲斐が走ってきて・・・ってのが多かったんだけど。
でも、あたしが友達と一緒に帰ってるところに、甲斐は絶対入ってこなかった。
甲斐が前を歩いてるときは、あたしが「甲斐ーっ」て呼んで待っててもらったりもした・・・

いつも通り、いろんな話をする。
話している途中に甲斐が見せる笑顔は、とてもキレイだった。
そして別れ、それぞれの家へと帰る。
そんな日が何回か続いた。

ある日すれ違った中学生に「ラブラブー」ってひやかされた。
別に、あたしと甲斐は付き合ってない。
まだ小学生だし・・・・・・
でも、あたしは、あたしの顔がどんどん赤くなっていく感じがした。
(なんでなんでなんでっ?!)
甲斐の顔が、まともに見れなかった。

またあの分かれ道。
「ばいばい・・・」
あまり、声が出せなかった。
「おう」
そして、またわかれる。
あたしはすこし駆け足程度に走った。


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