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また君に会いたい
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君とサヨナラする日1-14

「なあ、最近お前はおかしいぞ?」


聞こえるはずがないのに、問いかけてしまう。


俺がいたらやっていたであろうロケット花火連発攻撃や、久留米に向かってネズミ花火を投げ込むイタズラ。


怒鳴り込んできたオヤジには、久留米がやったんだと責任転嫁して、自分だけ逃げて。


さらには、俺があげた数々の古くなったプレゼントを身につけて、俺の大好きなチーズバーグディッシュを食べ、もらい煙草にケチをつけ、俺の煙草の吸い方を真似て、慣れない煙草なんて吸って。


今思えば、芽衣子はアパートにいる時も俺の服ばかりをパジャマ代わりにしていたな。


それだけ見れば、まるで俺のことが忘れられないように感じるが、昨日だって久留米に手を繋がれて嬉しそうな顔していたし、今この瞬間だっていつものようにニコニコ笑っている。


芽衣子の頭の中がさっぱり読めずに俺は混乱していた。


「園田、芽衣子は何考えてんだろうな?」


第三者の目線なら納得のいく答えを出してくれるのでは、と俺は園田の顔を見た。


「うーん……、私も女性の気持ちはわからないんですが。

でも、あなたが死んだ事実をやっと受け入れ始めた……のかなあ。私にはそう見えるんですよね。

葬儀の時なんかは故人の思い出話をたくさんすることが供養になるとか聞いたことありますし。

それは故人だけじゃなく、残された者の気持ちを整理するためでもあるんですが、有野さんは無意識のうちにそれをやっているようにも見える?

ごめんなさい、やっぱりわかりません」


園田は自信なさそうにそう言ったが、俺はコイツの答えで充分だった。


おそらく芽衣子は、自分の気持ちにケリをつけようとしているのだろう。


俺が死んだ事実を受け入れ、久留米と前に進むために、俺に対する最後のはなむけとしてこんな妙な行動ばかり取っているのかもしれない。


久留米をチラッと見ると、眉だけをひそめたまま固まっていた。


多分、芽衣子の中にまだ俺が存在していることに不安を感じているのかもしれない。


でも、俺にとっちゃこれからずっと一緒にいられる久留米の方が何倍も羨ましい。


芽衣子が俺を想って感傷的な行動をとっていたとしたって、それを癒やすことができるのは他でもない、お前の役目じゃねえか。


芽衣子は一生懸命気持ちに区切りをつけようとしてるんだ、隣で黙って見守ってやれよ。


下唇を噛んで俯いている久留米の背中を、“悩んでんじゃねえよ”と、思いっきり叩いてやりたい衝動をなんとか抑えながら、俺もつられて下唇をグッと噛み締めた。



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