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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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デアイトサイカイ-7


「は?え?」

 あまりの速さにリュディは手を握られたまま思わずキョロキョロしてしまう。

「私が今まで出逢った女性の中で一番美しい!是非ともその麗しい唇から貴女を表す言葉をお聞きしたい」

 平たく言えば名前が知りたいという事だ。

「リュ……リュディヴィーヌ……と申します」

「おおっ!名前までお美しい!私の事はランスとお呼びください」

「ランス様?」

「いえいえ、ランスと呼び捨てに!私は既に貴女のしもべですっ!」

 すりすりリュディの手を撫でながらまくし立てたランスは、そのまま頬ずりまでする。

びきっ

 そこでリュディのリミッターが限界に達した。
 過去の事件のせいで男性に触られるのが苦手なリュディ。
 だからと言って普通に生活する分には全然平気だし、テオにそういう目的で触られても大丈夫だったのだが、初対面でのランスのこの触り方には我慢出来なかったらしい。

ずるっ

 リュディの目の焦点が虚ろになり、口の端から緑色の蔦が覗く。

「!!」

 それに気づいたパルとテオは慌ててランスとリュディに駆け寄った。

「あーー!リュディっ!薬の時間だよっ!薬!」

「ランス!挨拶はその位にしてさ!ほらっ研究の成果とか聞きたいなぁっつうかさっ!」

 パルは素早く薬と水を持って2人の間に割り込み、テオがランスを引き剥がす。
 その騒動でリュディはハッと我に返り、急いで薬を飲んだ。
 ランスはというと不自然な2人の動きを疑問に思う事無く、顔をパアッと輝かせた。

「テオドアがそんな事言ってくれるなんて嬉しいなあ〜聞きたい?聞きたいかい?」

 素人でも自分の研究の素晴らしさを認めてもらうのは嬉しい。
 ランスはいそいそと懐から手帳を取り出し、ハイテンションでテオに説明を始める。
 上手く誤魔化せた事にテオとパルは安堵の溜め息をつき、リュディは申し訳ないようにパルをそっと見上げた。

「あの」

「はいぃっ?!」

 そんなパルの背中に遠慮がちに声がかかり、パルは素っ頓狂な声をあげて背筋を伸ばす。

「驚かせて申し訳ありません。僕はノアと申します。ランス様のお供をさせて頂いています」

 すっかり存在を忘れていたが、そういえばもう1人居た。



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