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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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デアイトサイカイ-2


「……それって全部じゃない……」

 リュディはがっくりとうなだれて右手で額を押さえた。

「だ、だって……助けてくれたし……テオ、リュディに殺されそうになったんだもん」

 パルの言葉にリュディは驚いて顔を上げる。

「そんな事したの?!」

「覚えてねぇのかよ」

 テオはシャツの首元を指で下にさげ、どす黒く変色した首をリュディに見せた。

「ご……ごめんっ……あの状態になると、記憶が曖昧で……」

 リュディは慌てて自分の鞄を引き寄せ、中から水蛇の皮といくつかの瓶を取り出す。
 瓶の中身を調合したものを水蛇の皮に塗ると、テオを手招きした。

「これ、痣に効くから……」

「おお、サンキュ♪」

 素直にリュディに近づいたテオは、薬が貼り易いようにシャツを脱いで少し上を向く。

「……ごめん……」

 テオの首に薬を貼ったリュディは、それが落ちないように包帯を巻ながら小さく謝った。

「ん〜…殺されかけたけど生きてるし、リュディの事情も分かったから気にすんなよ。な?」

 ぽすぽすと頭を軽く叩かれたリュディは、そっとテオを見上げる。
 そこには出会った時と何ら変わらないテオの顔があった。

(……やっぱり……思った通り……)

 魔物のパルにも普通に接するテオなら、リュディが両性具有だろうが植物を体内に飼っていようがきっと変わらない。
 リュディはそう思っていたが、正にその通り。

(……好き……)

 リュディは包帯を巻き終わると、そっとテオの身体に腕を回した。

「リュ、リュディ?」

 いったい何事だ、とテオは抱きついているリュディを見下ろす。

「…………」

 リュディは黙ってキュッと腕に力を込めた。
 テオは落ち着きなく腕をわたわたした後、戸惑いつつリュディの背中に手を添え、そっと撫でてやる。

「あ〜…大丈夫、大丈夫だから」

 ちょっと不器用な慰めにリュディは自分の顔が綻び、心が穏やかになっていくのを感じた。
 そんな2人をテントに残し、パルはピィを連れて外へ出る。

「リュディはテオの事が好きなのかなぁ?」

「ピ」

 肯定するようなピィの声にパルは困った顔になった。

「う〜ん……これじゃテオもリュディも食べれないなぁ〜」

 テオが『性欲処理以外にも意味がある』と言っていた。
 それが惚れたとか、好きとかの恋愛絡みなのはパルにだって分かる。



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