デアイトサイカイ-13
「何でそんなに変態なんですか……」
両性具有でここまで興奮出来るなんて変態以外の何者でもない。
「失敬な!君は失礼な男だよ、ノア」
ランスはぐりんと振り向いてノアに指を突きつけた。
「両性を持つものは完全な存在なんだよ?古来から神も天使も性別は無いじゃないか」
「ファンの守護神は雄でしたが……」
「君はつまらない!何てつまらない人間なんだノアよ」
「はあ……どうもすみませんねえ……」
ノアは深々と溜め息をついてさっさと寝る準備に取りかかった。
真面目にまともにお仕えしているつもりなのに、どうも我が主は普通じゃない気がする。
「ああっ!運命のミューズに出逢ったのに引き裂かれてしまうのか?!ノア!何としても彼らもクラスタに連れて行こう!」
「はあ?!」
普通ならここは彼らの行き先を聞いてついて行くではないのか?
自分のやりたい事は譲らないところがやはり普通じゃない。
「し、しかしですね……彼らにも都合が……」
「そこはノア。魔法使いであり、腹黒い君の仕事だよ。頼んだからね」
ランスはそう言うとノアの準備した寝具に潜りさっさと寝息を立て始め、ノアは本日何度目か分からない溜め息を深々とつくのだった。
オアシスから少し離れた砂丘の上で、テオは口笛を吹いていた。
以前、パルが歌っていた曲だ。
「夜中に口笛吹くと魔物が来るんだよぉ?」
そこに現れたのは言わずと知れたパル。
「だから吹いてんだよ」
テオはパルに向かって手招きすると、自分の足の間に座らせた。
そして彼女の後ろから腕を回して肩辺りに顔を置く。
「……食べさせてくれるんでしょ?」
何を甘えているのか、さっさと食わせろ、とパルはもぞもぞする。
「だあら、ムードを大切にしろっての。勃つもんも萎えるわ」
「ふうん」
そういうものか、とパルは大人しくテオの腕の中に収まった。
「ね。テオの家族ってどんな人達?」
「ん?そうだな……母さんは元暗殺者で父さんは元奴隷だったらしい」
「……それはまた凄い経歴だね……」
本当は隠しておくつもりだったが、パル達の過去を知ったのだ。
わざわざ教えてやる事は無いが、聞かれたのだから答える。