投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 69 アネクメネ・オアシス 71 アネクメネ・オアシスの最後へ

デアイトサイカイ-1


 砂漠都市エザルから少し離れた小さなオアシスに、急拵えのテントがある。
 そのテントの中でリュディは昏々と眠り続け、彼女の看病をしながらパルは2人の出会いをテオに話していた。

「……それから?」

 テオはリュディを見つめながらパルに先を促す。

「暫くは2人ともまともに動けなくて……私も魔物の身体を維持できなくてねぇ……人間形態の方がエネルギー消費も少ないし、森の中にある荒ら屋で1ヶ月ぐらいかな?療養してた」

 その時、パルは自分が固形物が食べれなくなった事に気づいた。
 脱出時にエネルギーを消費し過ぎたのだ。
 それから試行錯誤して、辿り着いたのが人間の『精力』……つまり、パルが『精』を食べるようになったのは結構最近の事なのだ。

「成る程ね……どうりで色々と慣れてないワケだ」

 50年以上生きている割には世間知らずな所とか、『精』を食べるくせに性技が未熟な所とか。

「どうせ未熟ですよぉだ」

 拗ねて頬を膨らますパルは、すっかりいつものパルに戻っていた。
 テオは眠るリュディを見つめたまま苦笑する。

「これからどうすんだ?」

「ん〜?予定通り……ファンに行くつもり」

「ファンに?」

 ファンと言えば世界の中心にある島国。
 西の大陸にある魔法大国ゼビアと親交が深く、魔法学校があったり他にも専門的な学校があったりする。
 昔は交易の中心国として栄えていたが、最近では学都としても栄えていた。

「……ファンには……魔導師様もいらっしゃるし……専門知識が豊富だから……」

 寝ていた筈のリュディが呟き、パルは彼女に目を向けた。

「リュディ、気がついた?大丈夫?」

「……うん……」

 リュディはゆっくりと身体を起こし、軽く頭を振る。

「はい。薬」

 すかさずパルが水筒と紙に包まれた薬を渡し、リュディは慣れた様子でそれを飲んだ。

「……私の……身体に居る吸血蔦を休眠状態にさせる……」

「へえ」

 大して驚いてないテオの様子に、リュディは溜め息をつく。

「……どこまで話したの?」

 リュディ的には絶対知られたくなかったのに、ペラペラとバラされてリュディはパルを睨んだ。

「えっとぉ……出会いから今までの事……?」

 パルは小さくなってリュディを上目遣いで見上げる。



アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 69 アネクメネ・オアシス 71 アネクメネ・オアシスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前