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恥辱の檻
【SM 官能小説】

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覚醒-1

あわただしい靴音が聞こえた。
何人かの革靴がアキラの部屋の前を通り過ぎた。

しばらくの静寂の後、鍵が開く音がした。
そおっと開いたドアの陰から、香が顔を覗かせた。

「やっぱりここにいたんだ!よかったぁ。アキラさん、助かるんだよ。捜査官が、踏み込んできたんだよ」

アキラは相変わらずバスローブ姿で、何を云われているのか解らずキョトンとしていた。
しばらくして、目の前にいるのが香であると認識できた。

ここ一カ月は、訪ねてくるのはミスターだけで、他の人間との接触は一切なかった。そして、行われるのは淫靡な主従関係だけだった。

 目の前の香は、興奮しているのか矢継ぎ早に何かを話しているが、アキラは水の中で話しかけられているようなボウっとした気分だった。

 突然と誰かがなだれ込んできた。
 息を切らせたミスターだった。
 
 反射的にアキラはミスターにかしこまった。
 すっかりミスターとの主従関係が板についてしまっていた。

 だが、今の男にそんな余裕など全くなかった。
 いつもの尊大な影など微塵も感じられなかった。

 慌てて部屋に鍵をかけて、初めて香がいることに気がついた。

 「なんだぁっ!お前は!勝手に入りやがって!」

 腰にはさんでいた拳銃を取り出して、いきなり香に発砲した。

 身をすくめたアキラが我に返ると、すでに香は虫の息だった。
 
 「しっかりして!どこが痛い?」
 「あのね、私、アキラさんとできてよかった…。とっても気持ち、良かったもん」
 「しっかりして!」
 「私は、どうせ、もう元の体には戻れないし、そう長くは生きられないから…。それに、これでヤクザとも別れることができたわ。アキラさんも助かってよかったね…」

 香は、出血による体力の消耗が激しく、喋ることも、ままならなくなっていった。
 アキラに抱かれたまま、静かに息を引きとっていった。

 ミスターは、ドアの外を時々走る靴音に怯え、頭を抱えていた。

「奴らが来たんだよ。こんな処まで!来たんだよ、奴らが!」

香の事など、まるで眼中になかった。
 その姿は、今までアキラに君臨していた“ご主人様”とは全く別人のものだった。
 チンケで、矮小な男の姿に、アキラは愕然とした。

 今までの主従関係が、すべて崩れ去った。
 そのあまりの落差に、云いようの無い怒りがこみあげてきた。

 アキラは、男の横っ腹をサッカーボールを蹴るように蹴り飛ばした。
 拳銃が弾け飛び、毬が転がるように男が腹を抱えて呻いた。

 「何するんだ!アバラが折れたぞぉっ!」
 「アバラが折れた位なによ」
 
 アキラは拳銃を拾い上げ、男の下腹に残りの弾丸を全て打ちこんだ。
  
 弾丸を全て吐き出した自動拳銃は、硝煙を残していた。

 「痛いよぉっ!血が、血が出ているよ!こんなにたくさん!」
 子供のように泣く男。

 アキラは、男の下腹部を踏みつけた。
 柔らかな肉の塊を容赦なく蹴りつけた。

 やがて男が何も言葉を発しなくなっても、ひたすら踏み続けていた。

                               完



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