投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

また君に会いたい
【その他 恋愛小説】

また君に会いたいの最初へ また君に会いたい 161 また君に会いたい 163 また君に会いたいの最後へ

君のいない所で-20

しんと静まり返った闇の中で、俺の鼻をすする音だけがやけに響く。


どれぐらい園田の胸で泣いていただろうか、嗚咽もようやく治まった頃に、園田が静かに口を開いた。


「手島さん、生老病死って言葉知ってますか?」


「……ショーロービョーシ?」


泣いてる顔を見られたくなくて、俺は俯いたまま園田の言葉を反芻した。


「はい、仏教用語なんですけど……。
人間は生きること、老いること、病むこと、死ぬこと、これらの四大苦と常に戦っていかなければいけないんです。

しかし死んでしまってもゴールはない。また新しい命を授けられ、まっさらな状態で生まれ変わる。

そしてまた生老病死と戦う……こんな堂々巡りの意味あるんだろうかと、よく考えるんですが、結局答えは出ない。

しかし、正解のないものに答えを見出そうと足掻いていく、この行動こそが意味のあるものなのかなあ、とも思うんです。

そうやって皆さん、死ぬまで生きていくんじゃないでしょうか」


園田は子供をあやすように、俺の背中をポンポン叩きながら語り出した。





また君に会いたいの最初へ また君に会いたい 161 また君に会いたい 163 また君に会いたいの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前