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アイツがあたしにくれた夏
【コメディ 恋愛小説】

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恋人ごっこ-11








淡々とゴミを集めていくあたし達。


すべてのゴミを拾い集めて、レジ袋の口を縛っている駿河の背中を見つめていたあたしはついつい、


「……時間が止まればいいのに」


と、ポロリと独り言を漏らしてしまった。


里穂ちゃんのことを考えない、自分だけの今の正直な気持ち。


心の中だけに留めておくには苦しすぎて、ほんの少しだけ楽になるために小さな声で呟いたつもりだったのに、レジ袋を縛っていた駿河の手がピタリと止まったかと思うと、彼はバッと立ち上がってあたしの顔を見つめた。


……聞かれてた!?


形のいいアーモンド型した大きめな瞳が、さらに見開かれてまっすぐ射るようにこちらを見据える。


対してあたしは口を抑えたまま、黙ってしまうだけ。


気持ちを抑えるつもりだったのに、里穂ちゃんを応援するつもりだったのに。


ここで漏らしてしまった本音がすべてを台無しにしてしまった。


「小夜……」


一歩、一歩、ゆっくり近づいてくる駿河の姿を、まともに見ることは出来なくて、地面を見つめるだけのあたし。


駿河が履いてるハイカットのシンプルなスニーカーが、あたしのサンダルの爪先の辺りで動きを止めた。


あたしのサンダルよりかなり大きなスニーカー。こんな大きな足してるなんて、駿河もなんだかんだ言って男の子なんだなあ。


なんて、呑気なことを考えていた次の瞬間、あたしの身体はギュウッと痛いくらい強く抱き締められていた。



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