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春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

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ろ乃花-14

「ここでいい、ありがとう」

 住宅街から少し外れたバス停付近に車を寄せると、彼女は早口にそう言った。

「通学の電車は、時間をずらしたほうがいいからね」

「そんなのわかってる」

 相変わらずのかるい調子だ。

「だけど、今日は奈保子さんにいろいろ迷惑かけちゃった。エッチな下着までもらったし」

「エッチな、は余計でしょう」

 少女の照れ笑いが、私にも感染する。

「奈保子さんのおかげで、今日は楽しかった」

「それは偶然ね。私も、すごおく楽しかった」

 皮肉ったつもりだ。

 しかし、人の話を聞いているのかいないのか、彼女はさっさと車から降りて、見栄えのいいルックスを私に向けた。

 一度だけクラクションを鳴らして、手を振る女子高生をバックミラー越しに見送った。

***

***

 今朝の遅れを取り戻すつもりでさくさくと仕事をこなし、気づけばペース配分もそっちのけで、夕方には一日分の労力を使い果たしていた。

 脚のむくみに悩まされながら帰途に着く三十路女。ついでにバツイチ。

 帰る場所は家庭ではなく、ただの家なのだ。

「ただいま」

 誰に言うでもなく、玄関でぽつりとつぶやく。

「おかえり」

 背後で誰かの声が聞こえたような気がした。
 耳に焦げつくような男の声。

 まさか、ずっとあとをつけられていたのだろうか。

 はっとして振り返った瞬間、疲労のピークに達していた私は、強烈な眠気の中へと意識を連れて行かれるのだった。


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