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春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

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い乃花-12

「ケミカル──」

 医師は教育実習の講師を気取るふうに、まわりのスタッフに上から目線で目配せをする。

 そのとき、静止していたはずの器具が前後に微動して、その柔軟な素材で私の膣をしごきはじめた。

「あんだめ……動かないで……んっ」

 いきなりでびっくりした。男性経験も少ない未開発な部分が、液体になったみたいに一瞬で溶かされた。

「開発部のにんげんに造らせた最新医療機器と連動するアプリの威力を、よく見ておくといい」

 一呼吸おいて、泉水医師がまた唱える。

「デュアル──」

「きゃ……」

 機械の音が子宮にまでつながってくる。

「トリミング──」

「あんっ……」

 異物のイボと膣内のヒダがこすれ合う。

 彼は私の体には指一本触れることなく、ひたすらタッチパネルをたたいている。

 そのうちに私の体内に違和感があらわれはじめた。

「うそ……ああ……これだめ……だめえ」

 はかることのできないラージサイズの異物が、男性的な動作で波をはこんでくる。

 乗り物に揺られている感じにも似ていた。

「だんだん調子が出てきましたね。これならすぐに排卵が促進されることでしょう」

 真面目な顔をして、彼の言っていることはめちゃくちゃだった。

 産科医に体をひらくのは、歯科医に口をひらくのとはわけが違うと私は思う。
 わかりきったことなのに、こうして残念な結果になっている。

 だけど──と私は思いなおす。

 物足りない気持ちを満たしてくれているのは、不妊治療という名のこの行為なのかもしれない。

 看護師の佐倉麻衣は、ふくよかなお腹を自分でさすりながら、私に同情の目を向けてくる。

「どんな気持ちなのか、本音で言ってみてください。それとも、人に言えないような気持ちですか?」

 問われた私は遠慮がちに頷く。

「とても気持ちがいいと、そう言いたいのですね?」

 私は熱っぽくイエスの意思表示をした。

 さらに彼女は、その先の質問をまわりに聞かれることをはばかり、私にしか聞こえない距離で耳打ちしてきた。

「こんなところでイクのが恥ずかしい。だけどもうイキそうな感じがしている。そうでしょう?」

 ふふっ、と微笑む彼女に対して、またしても首を縦に振る私。


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