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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ムカシムカシ-2


「美しい方を妃候補にしよう」

 一番目の奥様は目の前が真っ暗になります。
 何故なら、一番目の奥様はそこまで綺麗では無かったからです。
 それに比べて、二番目の奥様はとても美しい方でした。
 サラサラの金髪に蒼い瞳……透けるような白い肌にメリハリのある身体……このままでは二番目の奥様の子がお妃様になってしまいます。

 心の奥底に隠していた醜い感情が沸き上がりました。
 醜い感情はどんどん膨れあがり、とうとう爆発してしまいました。

 一番目の奥様は、真夜中に屋敷の地下室に降ります。
 とてもとても深い地下室への階段は地獄に続いているようでしたが、怖くはありませんでした。
 一番下まで降りると大きな大きな牢屋がありました。
 鉄の柵は人の足ぐらいに太く、小さな家が丸ごとはいるくらいの広さです。

『……誰?』

 牢の中から綺麗な声が響きました。

「わたくしはこの屋敷の者です。アナタにお願いがあって参りました」

 奥様は牢の奥に向かって声をかけます。

『アタシが魔物だって分かってて言ってるの?』

 牢の奥からドスンドスンと大きな何かが近よります。
 奥様のかざした灯りに照らされた何かは、とても大きな黒い蜥蜴でした。
 しかし、蜥蜴の背中には蝙蝠のような翼がついており、今はそれが畳まれていました。

「アナタが魔物なのは承知しております。それゆえにお願いしたいのです」

 奥様は胸を張って魔物に答えます。

『ふうん?アタシはアンタ達に無理矢理閉じ込められてるんだよ?お願いきかなきゃいけない理由なんか無い』

 そうです、この魔物は領地の森に居たところを人間に捕まり、閉じ込められていたのでした。
 よく見ると牢屋のあちこちに魔法の結界が施されています。

「願いを叶えてくれたあかつきにはアナタを自由にして差し上げますわ」

『ホント?』

「勿論ですわ」

『何をしたらいいの?』

 魔物の質問に奥様は今までの事を話します。

「……ですから、あの女に女の子を産んでほしくないのです」

 奥様の顔が醜く歪み、持っていたランプがカタカタ揺れました。

『もう1人の赤ちゃんを殺せば良いの?それとも、お母さんごと?』

 魔物の言葉に奥様は少し考えます。
 二番目の奥様ごと居なくなれば嬉しいのですが、旦那様が悲しむのは見たくありません。



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