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男女四人春物語
【純愛 恋愛小説】

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第三話-10

「お風呂、次入っていいみたいよ」
「あ、ああ。そうか」

言われ、直前の会話やら独り言が聞かれていたのではないかという不安とそれ以上の恥ずかしさから、さっさと着替えを用意して風呂場へと駆け出す俺なのであった。

    ***

「おかえり」

風呂から戻ってくると、クラコは当然のように俺のベッドの上でくつろいでいた。
布団に包まって全裸待機してたらどうしよう理性保たないぞなどと不埒な心配をしていたが、そんなことはなく安心したようなガッカリしたような複雑な気分になる。
ユイやヨッシー、三人で泊まりにきてたときは当たり前に感じていたのだけれど、関係が変わるだけでこうも簡単に気持ちすらも変わるものなのか。

「ね、じゃんけんしない?」
「は?じゃ、じゃんけん?じゃんけんって、グーチョキパーのじゃんけんか?」
「そ。最初はグーのじゃんけん」

頭を捻る。なぜ高校生にもなってじゃんけんなぞで遊ばなければならないんだ?

「負けたほうは、今晩だけ勝った人の言うことを何でも聞くの。どう?」
「え?そ、それって・・・」

今晩。
何でも。
よからぬ想像をしてしまい、かぶりを振って邪心を振り払う。
クラコに限って、そんなことはありえない。別の思惑があるはずだ。そう自分に言い聞かせる。

「じゃあ、やるわよ。最初はグー。じゃーんけーん」

まだ了承していないにも関わらず、勝手にじゃんけんを開始するクラコ。

「ぽんっ!」

その一声に、俺は反射的に手を出していた。形はパー。
対するクラコは・・・チョキ。

「私の勝ち」
「い、今のは反則だろ!?」
「見苦しい。それじゃあ早速」

有無を言わさず、クラコはぽんぽんと、ベッドの上、自分の横を軽く叩く。

「座って」
「え、な、なんで・・・」
「敗者に言葉は必要ない。いいから、ほら」

腕を掴まれ、無理やりクラコの隣に座らされた。
何をされるのか緊張していると、不意にクラコが俺の後頭部に腕を回してきて、顔を眼前まで近づけてきた。

「く、クラコ・・・?」
「違うでしょ?」

顔にクラコの息がかかる。
頭がクラクラしてきそうになりながらも、俺は彼女の名前を囁いた。

「三重子・・・」



第三話 終


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