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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ミドリノヒミツ-7


「ふうん……そっか♪」

 リュディのとは逆にパルは表情を明るくしてヒョイっと身体を起こした。

「さてと♪早めに出るよね?買い物行こうよ♪」

 パルは起きた勢いのまま外套を羽織ってリュディを促す。

「……私は……帰りに寄ってきたから……」

「あ、そっか……じゃあ、急いで行って来るね♪」

「うん」

 パタパタと足取り軽く出ていくパルの足音を聞きながら、リュディは再びため息をついた。
 今までパルと一緒に居て隠し事をした事は無かったのだが、昨夜の事は自分の胸だけにしまっておきたかった。
 テオの唇にテオの指……ほんの少しだったがとても幸せだった。
 あれをたっぷりと堪能したであろうパルが羨ましい……初めて『精』を食べる魔物のパルに嫉妬するリュディなのだった。


「♪エザルの為なら」

「え〜んやこ〜ら♪」

「♪おっかさんの為にも」

「え〜んやこ〜ら♪」

 外壁付近で砂を運ぶ係のサムの妙な掛け声に、テオや他の仲間達が合いの手をいれる。
 単純作業を繰り返すのに飽きてきた証拠。
 そんな中、街の方がざわついたので全員が仕事の手を止めてそちらに目を向けた。

「うおっ?!」

「きゃあっ!!」

「なんだ今のっ?!」

 ざわつきは段々と街の外側……つまりテオ達の方へと近づいて来ていた。

「に、逃げた方がいいかな?」

 サムは冒険者じゃなくてエザルの一般人。
 アクシデントには慣れておらず、オロオロしている。
 一方テオや他の冒険者は自分の荷物の所に走り、得物を取り出し身につけた。

「サム!!オレらの後ろに来い!!」

 冒険者の1人がサムを怒鳴りつけ、足をもつれさせながらサムは走る。
 そのサムの後ろから砂煙を上げて何かが迫って来ていた。
 大きさはそんなに無さそう……街の人々は足元を這いずる何かに驚いているだけに見える。

「……魔物……とかじゃ無さそうだな……」

 視力の良いレンジャータイプの冒険者が、少し高い位置から呟いた。

「とりあえず様子見るぜ……だが、油断するなよ」

 ファイタータイプの冒険者がロングソードを構えて注意を促す。
 何となくリーダーや役割が決まり、動きの速いテオはファイターの援護という形になっていた。

ザザザザザザ

 まるで砂が流れるような音。

ズザアァァッ

 それが砂を巻き上げて急に止まった。

『ピイイィィッ』

 と、同時に聞き慣れた鳴き声。



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