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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ミドリノヒミツ-12


「こっっっのっ馬鹿野郎がぁっ!!」

ガシャーンッ

 エザルの中でも治安が悪い地区の、更に裏の方にある廃虚で、男の野太い怒鳴り声と色んなものが崩れる音が響く。

「すみませんっアニキっ」

 殴られてぶっ飛んだ1人は完全に昏倒しており、残った2人は青くなって床に頭を擦りつけた。

「くそっ……ツレが居たとはな……」

 怒鳴った男は土下座している1人の頭を踏みつけ、床に転がっている女に視線を移す。
 女は両手を後ろに縛られたうえに、身体を縄でぐるぐる巻きにされ、両足も括られていた。
 口にも猿ぐつわをされていたが、暴れたりもがいたりする事なくジッと男を見つめている。

「肝が据わった女だ……怖くねえのか?」

 男は女に近づき爪先で顎を持ち上げる。
 女……リュディのオレンジ色の目は外れる事なく静かに男を見上げていた。
 男は自分の唇を舐めると爪先をスッと抜いてリュディの髪を掴む。
 痛みに少し顔をしかめたリュディだったが、視線は男に向いたままだ。

「お前ら……今度は間違えるなよ……短い赤毛で黒目の胸のデカイ女だぞ」

「へ、へいっ」

 リュディと視線を合わせたまま言った男の言葉に、残った2人がバタバタと廃虚から出ていった。

「……ボロボロになったツレを見たら、あの女ぁどう思うだろうなあ?」

 男の顔が歪み醜い素顔を覗かせる。

(……パルの獲物か……)

 会話の内容でやっと状況が掴めたリュディは目をすうっ細めた。
 いきなり窓から乱入した男達に、抵抗する間もなく縛られて運ばれたリュディ。
 男3人相手に暴れても体力の無駄だと大人しく運ばれた先に、この男が居た。

(……とんだとばっちり……)

 男の様子からするにかなり腹に据えかねているようだ。
 パルを見つけたら滅茶苦茶に犯してボロ雑巾の様に捨ててやる、と言わんばかり。
 問題はその憎悪がリュディに向けられている事。

(……食事の後片付けくらいちゃんとして……)

 うんざりするリュディの髪を離した男は、腰からショートを抜いてリュディに突き付ける。
 反射的に身を引いたリュディの身体に巻き付いていた縄に、男はソードを引っ掛けてブツブツと切った。
 戒めが軽くなって少しホッとしたのも束の間、今度はシャツの裾からソードが潜り込む。



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