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青い夏休み
【その他 官能小説】

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まさかの自由研究-2

 各フロアの案内図には、まだ学校で習っていない漢字とか英語などもいっぱい書いてあるのに、萌恵は気後れすることなくそれらを理解した。

「新聞コーナーは2階にあるんだって」

 スーパー小学生の萌恵を先頭に、おまけの3人がついていく。
 長く大きなエスカレーターが、小さな体を上へ上へと運んでいく。

「宇宙ステーションみたい」

「宇宙は無重力なんだぜ。エスカレーターなんていらないよ、きっと」

「うん、空中に浮いちゃうもんな」

 興味が尽きない4人もそろそろ2階に到着した。
 学校の体育館ほどもある広いフロアに、高い天井。
 そこから見えるのは、本、本、本……。

 これがぜんぶコミックだったらどんなにいいだろうと、つい思ってしまう。

 ふと、カウンターに立っている女性職員と目が合って、理人がひょこっと会釈すると、彼女は微笑んでうなずいた。

 自分たちとどれくらい年齢が離れているのか、少年少女のものさしではまだまだわからない。

 母ちゃんよりは若いけど、姉ちゃんよりは年上だろうな──的な推理をする理人。

 そんなことよりも、ぼくらにはやらなきゃいけないことがあるんだった──。

 彼らは読書スペースの一画を確保して、机の上に宝の地図をひろげるように、新聞を見開いた。

「漢字だらけだ」

「読める漢字もあるじゃん。ええと、ガイ、コク、タメ、カエ?」

「外国為替」

 萌恵と理人がそろって正解を言う。

 ここ最近の学年テストの成績だけで言えば、1位が理人で、萌恵はずっと2位なのだった。

 バチバチと火花を散らしているのは萌恵のほうで、理人には火の気すらない。

「セ・リーグのところ見ようよ」

「せっかく来たんだしさ、ビジネスマンが読みそうな記事がいいんじゃないか?」

「そっか、社長になるにはまず、ビジネスマンにならなきゃだな」

 納得した気分で新聞のあちこちに眼(まなこ)をめぐらせる、未来のビジネスマンたち。


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