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「ガラパゴス・ファミリー」
【近親相姦 官能小説】

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前章-25

 夕食に入浴を済ませた伝一郎は、用意された寝衣に着替えてベッドに潜り込んだ。
 昼間の疲れも有って、直ぐに眠れるかと思ったのだが、然もありなん。実際には何度も寝返りを打つ始末。

「参ったな……」

 眠るのを諦めた伝一郎は、暫く夜風にでも当たろうと、ベッドを這い出した。

(暫くすれば、眠くなるだろう)

 窓引きの隙間から、窓を開いて縁台に渡った。そよ吹く風が、鼻に付く硬の燃焼臭を運んで来る。漆黒の闇の中に、山際が仄かに青白く輝いていた。

(成程……これは綺麗だ)

 硬山が見せた新しい表情は、伝一郎の口から感嘆のため息を漏らした。
 風に乗って、産炭場の作業音が微かに聞こえて来る。昼夜問わずの生産が行われている所以だ。

(彼処に、夕子の級友も居るのか)

 煤だらけに為って働く女の子──そう思うと、自然と晶子の顔が脳裡に浮かび、気分が沈んで行く。

(部屋に戻って、本でも読むか……)

 伝一郎が部屋に戻ろうとした矢先に、それは聞こえて来た。

(何の音だ?)

 耳を欹(そばだ)てる。呻き声の様な物が確かに聞こえていた。
 伝一郎は部屋を出た。この二階に居るのは、自分と貴子だけで有り、体調が急変したと為れば、下の者にも知らせて必要な措置を取らなくては為らない。

(あんな調子じゃ、何時かは病気に為るってもんだ)

 小走りで廊下を進み、貴子の部屋の前に着いた。
 息を殺し、耳を澄ませた中で聞こえて来た音に、伝一郎は呆れ返った。それは呻き声では無く、艶かしい嬌声だったのだ。

(何だよ……心配して掛け着けたのに)

 伝一郎は心の中で、独り悪態を付く。次いで「夫婦の営みとやらを見てやろうか」と企んで鍵穴から中を覗いた。
 中は真っ暗で、息遣いやベッドの軋む音以外に様子を窺い知る術は無かった。
 と、此処で伝一郎は重大な事に気付いた。

 ──父さまは、子供を作る事が出来無い理由から、俺を嫡子として迎えたはずでは無かったのか。

 その時、中から聞こえた声に伝一郎は耳を疑った。

「ああ〜!香山……もっと、もっと強く」

 貴子は昂る気持ちを抑え切れず、目交わいの相手で有る香山の名を呼んだ。
 まさかその声を、義理の息子に聞かれてるとも知らずに。



「ガラパゴス・ファミリー」前章 完



 ※1:穢多、非人。


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