マツリノヨル-5
「ふうん」
テオは曖昧に返事をして空いている席に座った。
周りでも次に現れるパルの話で持ちきり。
揺れる胸が堪らないだの、いやいや覗く太股が良いだの……もしかして、チャームの魔法をかけてるんじゃないかと疑うぐらいだ。
「この間、俺パルティオちゃんに誘われたんだよなぁ〜」
ぶっ
後ろの席の男が言った言葉に、テオはスムージーを吹き出す。
前の席に座っていたサムが嫌な顔で振り向き、テオは謝りつつも後ろの会話に耳を傾けていた。
「マジかよ?!ヤッたのか?!」
「ヤッにはヤッたんだけど、かなり酔っててさあ……記憶が曖昧なんだよ」
「はあ?!」
「スッゲェ気持ち良かったのは憶えてんだぜ?だけど、いつの間にか寝てて、気付いたら朝」
パルティオちゃんがどんな風に喘いだとか、肝心の裸体が思い出せない、と話す男にテオは苦笑する。
(……記憶消したのか……)
多分、パルは脱いで無いだろうし喘いでもいないだろう。
魔法で意識を奪い、勝手に突っ込んだなりくわえたなりしたと考えられる。
「勿体無ぇなぁ〜そんなチャンスもう無ぇぞ?!」
「だよなぁ〜何で寝たかなぁ〜?」
それは精を食われたから……なんて教えてやる気もないテオは、男に同情しつつパル達の出番を待った。
演劇が終わり、舞台が片付けられると薄桃色の煙が湧き出てきた。
煙は舞台上を覆い、流れるように舞台の下へ動く。
ジャアァァン
静まった会場にギターの音が響いた。
タン タン タン
リズムを取るように何かを叩く音がし、何処から現れたのか舞台の中心にパルが降り立つ。
ふわりと煙が撒き上がり、一瞬パルの姿を隠した。
再び煙が落ち着くと両手を床についてしゃがんでいたパルが、ふっと顔を上げる。
シャン シャン シャン
タン タタン
ジャラララララララ
パルが脚でリズムを取ると、足首に付いているアクセサリーが音を奏で、同時にギターの音色が鳴り響いた。
音に合わせて踊りだしたパルは、綺麗に化粧をしてアクセサリーで飾りたてている。
キラキラ光るビキニの上から、ふんわりした透ける素材の服を着ていて、動く度に布と煙が翻っていた。