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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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メシアガレ-8


「魔物も歌うんだな」

 急に声がかかり、パルはピッと動きを止めた。

「寒くないか?」

 声をかけたのは言わずと知れたテオ……彼は持ってきた毛布をほいっとパルに放る。

「アタシ、魔物だよ?でも、ありがと♪」

 投げられた毛布を受け取ったパルは、素直にお礼を言って膝にかけた。

「続けろよ」

「ん〜?」

 パルの横に毛布を敷いてそこに寝転んだテオは、パルの尻尾を弄りながら催促する。

「歌……続けて」

 命令口調からお願いに変わり、パルはちょっと照れつつ歌を口ずさむ。
 人間の歌はあまり知らないが、この歌は好きだ。
 男と女を金と銀の月に見立ててる歌詞……ひとつになれない関係ながらもお互いを想い合い、慈しみ合っている内容だ。
 横に居るテオは目を閉じて耳を傾ける。
 しかし、尻尾を弄る手は止まらず、パルはムズムズしてきた。
 徐々に小さくなる音量を不審に思ったテオは、そっと目を開ける。

「パル?」

「あのさ……尻尾……離してくんない?」

 只でさえお腹が空いてるのに、そんな愛撫をされたら我慢出来なくなる。
 ちゃちゃっと食べて、サクっと記憶を消してしまえば良いのだが、何となくテオにそれはしたくなかった。
 少し顔を赤らめてモジモジするパルを見たテオは、クスッと笑って尻尾への愛撫を強める。

「ふにゃあぁぁっ」

 パルは背中や、翼までもぶるぶる震わせて猫の様に喘いだ。

「くくっ腹減ってんのに痩せ我慢か?」

「んやっ……だって嫌なんでしょお?」

 ここ何日か無下に断られてるし、嫌な顔だってされている。
 1度は同意したが2度3度とヤルうちに嫌になったのだろうと思ったのだが……。

「お前に食われるのは嫌じゃねぇよ?」

 テオは尻尾をくにくにと弄りつつ視線をさ迷わせた。

「ただな……ムードがねぇっつうかな……」

 朝勃ちをくわえられたり、食事中に後ろから手を回して扱いてきたり。

「一応な、人間にとっちゃ性欲処理以上の意味合いもあるわけで、どっちかっつうとオレは後者の方を大事にしたいっつうか……」

 テオはしどろもどろになりつつ、捲し立てるように続ける。

「お前にとっちゃ食事だろうけど……何となく……嫌なんだよ」

 一方的にただ抜くだけなのは嫌だ。
 例え相手が魔物だろうとも、ヤルからにはちゃんとシたいのだ。



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