メシアガレ-6
「さあ?見た事ない……」
差し出された卵を間近でまじまじ見ていたリュディの目の前で、卵がカタカタ揺れる。
「わ?!」
「?!」
驚いて卵を落としそうになったテオに、同じく驚いたリュディが手を出した。
リュディの支えで何とか卵を落とさずにすみ、2人はほうっと安堵のため息をついたのだが……卵の中から黄色い瞳がリュディを見つめていた。
『ぴっ』
「!」
黄色い瞳の主はひと声鳴くと、勢い良く卵を割って中から飛び出す。
「きゃあっ」
しゅるしゅるっとリュディの腕に登った何かは、肘辺りでピタリと止まり身体をぶるっと震わせた。
まるでイタチの様に胴長な身体は殻と同じミントグリーンの柔らかそうな毛に包まれ、耳がウサギのように長い。
クリクリの黄色い瞳できゅるんとリュディを見上げた生き物は、嬉しそうに彼女の頬をぺろっと舐めた。
「……ナニコレ……」
見た事の無い生き物に、リュディは棒読みで問いかける。
『ぴ』
胴長の生き物は長い尻尾をぷんぷん振って愛想を振り撒いた。
「……じゃ、それはリュディさん担当って事で」
「え?」
「よろしくぅ〜」
テオとパルは謎の生き物をリュディに押し付けて、サクサクと旅を再開させる。
「そんなっ……ちょっと……」
リュディは困った顔でテオとパルの背中と、謎の生き物を見比べたが……。
「……まあ……いいか……」
クリクリの瞳は可愛いし、ふわふわの体毛も美しい……生きているアクセサリーと思う事にしたリュディだった。
そうして夕方、パルの見つけたオアシスに到着した。
「きゃっほーい♪」
ばしゃあっ
パルの歓声と水の音……飛び散った飛沫が虹色にキラキラ光る。
「バッカ、先に荷物降ろせよ」
文句を言いつつも、テオの顔は笑っていた。
横でテントを張りながらリュディもクスクス笑う。
「あはっごめ〜ん」
パルは水中から顔を出すと、翼を広げて浮かんだ。
服がぴったりと身体に貼り付き、豊満な胸とくびれたウエストが強調される。
「ぅ」
艶かしい姿のパルから、テオは慌てて視線を反らした。