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アイツがあたしにくれた夏
【コメディ 恋愛小説】

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夢、破れたり-1

狭いスタッフルームに入ると、大きなため息が出る。


ドアの横に置いてある姿見に映る自分の姿。


太いわけじゃないけど、痩せてるわけでもない。顔も並みの並みだけど、見ようによっては可愛く見えると思うんだけど、世の中の男にしてみれば、あたしは恋愛対象外としか映らないのかな。


彼氏いない歴イコール年齢をそろそろ脱出したいんだけどなあ。


せめてひと夏の恋でもいい。


素敵な男の子と二人、手を繋いで花火大会なんか行けたらどれだけ幸せなんだろうな。


でも、この分じゃ負けちゃうかな。


実はあたし、密かにスウィングの「恋人いない組」の一抜けを狙っている。


ちょっと前までは対戦相手が駿河のみだったし、奴自身は彼女が欲しいなんて素振りを見せたことがなかったから、余裕をかましていたけれど、里穂ちゃんが入ってきたことにより、切羽詰まった状況に陥ってるのだ。


と、言うのも、里穂ちゃんは駿河狙いっぽいから。


駿河に話しかける時は、ちょっと声が高くなって上目遣いが発動して。


やたら駿河にボディタッチをするのは、好きだからだろう。


駿河も、里穂ちゃんのそんな小悪魔っぽいモーションにタジタジになりつつも、顔を赤らめたりなんかしてるから、陥落は目前だと睨んでる。


それがどうして切羽詰まった状況かというと。


二人が付き合おうが勝手なんだけど、そうすればあたしだけが独り身の負け犬になってしまうから、なのだ。


そうすれば、ますますみんなに哀れまれたりしちゃうでしょ?


そろそろ彼氏がいないことをバカにされるのもキツくなってきたから。


だから、そうならないために、今年の夏は!


「絶対彼氏を作って、一緒に花火大会を見にいくんだああ!」


と、姿見に映る自分の姿を指さして、自分自身に発破をかけてやった。





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