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アイツがあたしにくれた夏
【コメディ 恋愛小説】

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この夏こそは-5

で、何が不満かって言うと。


あたしのあっかんべー攻撃を受けた駿河は、小馬鹿にしたように首を傾げながらカウンターに戻って、再びウォッシャーに入った。


あー、マジむかつく。


そう、あたしと激しく相性の悪いこの駿河とシフトが全部被っていること。


あたしは基本的に月、木、土の週3日のシフトで入ってる。


面接時に、「日曜日も入れない?」って店長から質問されたけど、日曜日はまだ見ぬ彼氏とデートするだろうから、お断りさせてもらった。


まあ、彼氏がいまだにできないってのはおいといて。


そして駿河のシフトは、月、木、土、日の週4日。あたしの出番には全てこの意地悪責任者と被ってしまうのだ。


もう一人の遅番責任者の福沼さんだったらどれだけよかったか……。


……だって。


「コラ、古川(ふるかわ)。ボケッとアホ面してねえでスプーンの拭き上げしろ」


ウォッシャーをまわしたり、たまった灰皿を洗ったり、とにかくチャキチャキ動き回る駿河は、作業をしながらあたしにダメ出しをしてばかり。


確かにあたしはどんくさい方なので、仕事も最近ようやく人並みに覚えられてきた所だ。


それでもみんな優しいから、丁寧に何度も教えてくれるんだけど、コイツに限っては超スパルタ。


一度教えたことは、もう教えてくれない。もう一度訊ねようものなら「メモしなかったのか?」と鋭い目で睨まれてしまう。


しかもこんなに厳しいのはどうやらあたしだけらしい。


それは恐らくあたしがもの覚えが悪くてヘマばかりしているから。


グラスの破損なんてしょっちゅうだし、ドリンクを作るのも遅いし、オーダーもすぐ忘れちゃうし。


とにかくミスしない日なんてないくらい、あたしの仕事ぶりはひどかった。


だから、駿河も次第にあたしに対して厳しくなり、ミスをすればバカにされたりと、扱いがひどくなってきたのだ。


それでも、あたしがここまでバイトを続けて来れたのは、駿河以外のスタッフとの良好な人間関係や、元来の負けず嫌いな性格もあったからだと思う。


そして、その結果。


努力は裏切らないって言葉通り、あたしの仕事ぶりも徐々にミスが減っていった。


にも、関わらず。


「ほら、古川。次はコーヒー豆の補充しろ。言われる前にできる仕事探せ、このアホ」


駿河から見れば、あたしはまだまだ使えないスタッフらしい。


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