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It's
【ラブコメ 官能小説】

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△△-1

旅行から1ヶ月が経った。
9月はあっという間に終わってしまった。
休みをもらっていたバイトも無事に復帰し、初日にはお菓子やらアイスやら色々ともらってしまった。
夏休みも終わり、学校では本格的な国家試験対策が始まろうとしている。
季節も秋へと移り始め、上着を着ないと夜は寒い。
10月5日、陽向は問題集を詰め込んだバッグを肩に掛け、学校への道のりを全力疾走していた。
いつものごとく、遅刻だ。
自分は何も学ばないアホだと思う。
ヒーヒー言いながら坂を登り切ると「おう」と声を掛けられた。
「また遅刻か」
数人の友達といる湊がヘラヘラ笑いながら陽向を見る。
「…俺のせい?」
ニヤニヤと小声で呟いたその言葉に、陽向は走って赤く染まった頬を更に赤くした。
昨日は陽向の家で、湊がバイト先でもらってきたワインを飲み、いや、半ば強引に飲まされ、3回もイかせられるほどの激しいセックスをしたのだ。
記憶は定かではないが、初めて辛すぎるのが理由で泣いた。
終わった後は優しくしてくれたけど、朝起きた時には湊の姿はなく、遅刻寸前だという事に気付き二日酔いでグロッキーになりながらここまで来たのだ。
「そーだよ…」
「悪いねー」
湊の友達もいるので、バカとかアホとか言えるはずもなく、陽向は湊を睨み付けて校舎に入っていった。
ドアを開けると一番後ろの席にいつもの3人が座っていた。
「出た。また遅刻」
奈緒に囁かれる。
「はは…」
「はい、プリント」
「ごめん、ありがと」
「…ってか酒臭っ」
「ちょっと飲み過ぎちゃって…」
「飲み過ぎてからの……?」
奈緒の思考回路は恐ろしい。
陽向は顔を赤くして奈緒の肩を叩いた。
「やっぱりー。あ、そだ。今日みんなで勉強してから帰んない?」
「いーね、いーね!」
「決まりねー」
陽向は渡されたプリントに目を通した。
今日は心臓の話か…。
ボーッとしながら先生の話に耳を傾ける。
気付いたらウトウトしており、夢の中へと落ちていった…。

「ひな、なんも食べないの?」
授業が終わり、食堂で昼食を摂る3人を目の前にして、陽向は1人烏龍茶を飲んでいた。
「うん、いらない。…気持ち悪い」
「飲めないワイン飲むからだよー」
奈緒と千秋がぎゃははと笑う。
「てかさ、体調はもうバッチリなの?」
夏休み中に4人で会ったのは、たった1回だけだった。
その時も既に元気だったのだがみんなはまだ心配してくれている。
楓の心配そうな顔を見て陽向はニコッと笑った。
「もう全然へーきだよ」
あれからみんな、優菜のことは口にしなかった。
ただ、心配だけしてくれている。
こちらから聞くことがなければ、きっと3人は何も語らないだろう。
3人が昼食を摂り終えて図書館へ向かう。
陽向はもう少し休んで後から行くと伝えて1人で食堂に残った。
ペットボトルを握り締めてテーブルに突っ伏す。
あんなに飲むんじゃなかった…。
まだ気持ち悪い。
きっと夜までこのモヤモヤしたのは続くのだろう。

気付いたら眠っていた。
「…風間さん?」
その声にはっとなる。
「え、あ…はい?」
寝ぼけ眼を向けた先には知らない女。
「ここ、座っていいですか?」
「あ…どーぞ…」
誰だ、この女は。
キョトンとしていると「ごめんなさい」と突然謝られた。
「へ…?」
「佐山優菜の友達の姉の山口真澄です」
山口という女は軽く会釈した。
陽向は「え?…あっ、あーどうも…」と挙動不審な挨拶をした。
髪を手で撫でつけ、意味もなく整える。
突然の出来事に思考が狂う。
なんで優菜の友達本人じゃなくてお姉さんがここに…?
「優菜は、高校の頃からずっと五十嵐くんの事が好きだったの」
なんの前触れもなく山口は話し始めた。
「…知ってます」
「最初は遠目から見てカッコイイってずっと言ってたらしいの。同じクラスになった時は、少しでも近付こうと必死になって毎日話し掛けてたんだって。…でも五十嵐くんには彼女いたし、当然相手にはされなかったんだけど」
陽向は黙って話を聞いていた。
話を聞く限り、山口は優菜と高校の頃一番仲が良かった山口有沙という子の姉だということが分かった。
「相談とかも、色々されてたんだって。すごくピュアな子だからさ、有沙も応援してあげたいって思ってたみたい」
「……」
「でも、優菜は変わっちゃった…」
「…え?」
山口は、高校時代の話をゆっくりと話し始めた。


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