投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 4 アネクメネ・オアシス 6 アネクメネ・オアシスの最後へ

イタダキマス-5


「2号さん?」

「ん、砂蜥蜴の呼び名」

 大きい順に旦那さん、正妻さん、1号さん、2号さん。
 ネーミングセンスはおいといて、売り物である砂蜥蜴が不調なのはいただけない。

「オレが診ても良い?」

「え?」

「昔っから動物とか好きでさ。ある程度なら分かるよ?」

 テオの言葉にパルとリュディは顔を見合わせた。
 砂蜥蜴は慣れてないと扱いが難しい。
 いくら動物好きとはいえ噛まれたりしたら大変だ。

「大丈夫大丈夫。任せて」

 返事を聞く前にテントを出たテオを、2人は慌てて追いかける。
 テオは両手を軽く広げて砂蜥蜴に近づいていった。

「誰が2号さん?」

 テオの言葉に一番小さい砂蜥蜴が頭を下げた。
 テオはその頭を抱えるようにして首筋をガシガシと掻いてやる。

「ははっどうした?調子悪いって?」

 グイグイ鼻面を押し付けてくる砂蜥蜴を、テオは乱暴とも思える手つきで撫でた。
 その様子をパルとリュディは目を丸くして眺める。
 砂蜥蜴は馬よりも暑さに強いので、ここら辺のような砂漠や足場の悪い場所などで重宝される生き物だ。
 しかし、調教が難しく馴れてない人間に対しては警戒心も強い。
 現にパルとリュディはこの砂蜥蜴を運ぶ為に、1週間も砂蜥蜴の元に通ったのだ。
 なのにテオは、初対面で砂蜥蜴に心を許させた。
 2人の心の中は驚きと、なんとも言えない理不尽な気持ちでいっぱいになる。

「……あ……パル。ペンチか何かある?」

「へ?ペンチ?」

「うん。後ろ脚に何か刺さってるや」

 皮膚が物凄く分厚いので痛くはないが、違和感があったのだろう。
 パルは道具箱の中からペンチを取り出して、テオにほいっと投げた。
 左手でそれを受け取ったテオは、砂蜥蜴の脚を抱え持つ。

「痛かったらごめんな」

 テオが声をかけると砂蜥蜴はそっと目を閉じた。

ぷっ

 小さい音だったが抜かれたのは長さ3センチ、幅1センチはある板切れ。

「こりゃ違和感あるわな」

 斜めに刺さっていたから皮で止まっていたが、真っ直ぐ刺さってたら絶対に痛い。
 しかし、痛くなくとも気持ち悪かっただろう。
 例えるなら、でっかい石ころが靴の中でゴロゴロしてる感じ。


アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 4 アネクメネ・オアシス 6 アネクメネ・オアシスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前