イタダキマス-13
チカチカと星が煌めく視線の先に、パルの唖然とした顔がある。
(くそっ……旨そうな顔しろっての……)
せっかく精を食わせてやってるのに……そう思ったテオだったが、それを口に出す事なく意識を失ってしまったのだった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
パルは息を乱して自分に倒れ込んだ黒い頭を見つめる。
食事とはこんなに疲れるものだったろうか?
こんなに恐怖を感じるものだったろうか?
パルは恐る恐る黒い髪に触れた。
ちょっとクセのある黒い髪……汗で顔に貼り付いたのを掻き上げてやると、あどけない寝顔が見える。
さっき恐怖を感じた相手と同一人物とは思えない子供のような顔に、やっとパルの身体から力が抜けた。
「……パル、大丈夫?」
「ひにゃ?!」
背後からリュディに声をかけられ、パルは妙な声を出す。
リュディの存在をすっかり忘れていた。
「いつになく激しかったね……凄い精神力……」
パルの正体を知って、何度か食事風景を見た事があったリュディだったが、こんなにパルが鳴かされるのは初めて見た。
いつもはパルが一方的に食べ、相手の記憶を消して終わりなのに。
「………………」
「パ……パル?」
黙り込んだパルを心配したリュディだったが、パルの表情を見て身体を引いた。
彼女の顔は爛々と輝いていたのだ。
「……お〜い〜し〜かったぁ〜♪」
ピンク色に染まった両頬に手を当て、うっとり。
リュディは思わずカクンとコケた。
「ん〜ふ〜ふ〜♪良い獲物ゲットぉ♪」
お腹も満たされるし気持ち良い。
何より相手が同意しているのが最高だ。
「……良かったね……」
翼をパタパタさせて喜ぶパルを見て、リュディはため息をついて毛布に潜り込んだ。
「あ リュディも美味しいよ?」
「嬉しくない」
「ホントだってばっ。リュディはデザートなんだから♪」
そう言ったパルは、テオと結合を解いてちゃんと寝かすと、リュディの毛布の足元から頭を突っ込んできた。
「ちょっ?!」
「んふ♪リュディも興奮しちゃった?こんなになっちゃって♪」
「んっやっパルっ食べたばかりでしょう?!」
リュディは慌てて股ぐらに顔を埋めてきたパルの赤い髪を掴む。