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黒の他人
【ラブコメ 官能小説】

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無形の愛<加奈の事情>-2

知らぬ間に身体が覚えた性的な刺激。
ただ快楽のためだけに繰り返してしまっていた誰にも言えないヒメゴト。
これを自慰行為と呼ぶなんて知ったのはいつ頃だったろうか。

なぜ、こんなに気持ちいいのに、自分を慰めるだなんて寂しい言葉なのか、
その意味を理解したのは、間違い無く龍二さんに抱かれてからのことだ。

目を閉じ龍二さんを想い浮かべながら、
ゆっくりと下着越しに二本の指で秘部を撫で回す私。

誰かを想い浮かべてするなんて、いままで考えもつかなかった。
もちろん、ぼんやりと顔も名前も知らない人型に抱かれる想像くらいはしたけれど、
そこに具体的な像を描いたのは……やっぱり龍二さんがはじめてだった。

「あぁっ んっ はぁっ……」

いやらしい女の嬌声。

実家ではばれないように必死で声を押し殺していたはずなのに、
ひとり暮らしになったとたんこれだ。
いや、龍二さんに抱かれ女の喜びを得た頃から私は、随分と我慢弱くなってる気がする。

「龍二さんっ あんっ 龍二……さん」

濡れた下着を脱ぎ捨て、ゆっくりと膣内に指を挿し込む私。

クチュクチュと卑猥な音を立てながら、龍二さんに意地悪されてるのを想い浮かべて、
その時は言えなかった言葉を次々に発しながら自分を辱めていく。

「もっとっ もっと奥までっ んんっ もっと激しく動かしてぇっ」

両足を大きく拡げ、腰を高く突き上げると、
太股に飛び散る愛液なんて気にも止めず、
ただ気持ちいい場所を気の済むまで弄り回す愚かな行為。

龍二さんに触って欲しい。

優しく髪を撫でながら、頬に胸に腰におしりに、
あの大きな手の平で、ずっと私のすべてに触れていて欲しい。

「んあっ ま、まだっ んんっ」

思わずイキそうになるや、慌てて指の動きを止める私。
もしも龍二さんがそばにいたなら、『我慢せずにイケよ?』なんて言われるだろうか?

イクことなんて簡単だ。
龍二さんを想いながらほんの少し指で触れてやるだけでいい。
でも、その瞬間、またすぐに現実に引き戻されて寂しさを感じてしまうくらいなら、
いつまでも気持ちいいまま、ずっと龍二さんを想い続けていたいのだ。


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