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夢姫伝説
【SF 官能小説】

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第2話-4

「私と電話を対応した人物の肉声の確認をしておいて下さい。私は、電話対応しただけですが、まるで相手は私の存在を見透かしていて、弱みを知り尽くしているかの様な口振りでした。あまりもの気味の悪さに、この様な失態をしてしまったのです。実は...私、彼とは喧嘩分かれしたのです。彼...私よりもラブドールと、やった方が気持ちいいって言っていて...。それで最近はずっと私...」

ルカは涙を堪えて訴えた。

「分かった、もうそれ以上は話さなくても良い...」

ミヤギは、ルカを抱き寄せる。
社内で1番明るく陽気で通っていた女性社員を、いとも容易く陥れてしまう事が出来るのは高性能のコンピューターを使って、相手を分析しなければ不可能とミヤギは考えた。

(やはり...オダ・シンの近くにアリサはいる!)
と、ミヤギは目を付けた。

情報通信室に戻ると、他の通信関係の作業をしている女性に声を掛けて、先程のルカとの対話をした相手の肉声の確認を行ってもらう。

「情報公開されている本人の肉声と、ほぼ一致しています」

「電話の相手は、アンドロイドだ。間違いない...」

「そうでしょうか?」

「アリサ位の高性能なレベルなら、音声の1つや2つ、簡単に変えられる。アリサの居場所はもはや明確だ!」

ミヤギは、そう言って情報通信室を出て行く。


タナカ会長は、書類に目を通していた。部屋をノックする音が聞こえ「どうぞ」と、一声掛ける。
タチカワが部屋に入り「刑事の方が、見えました」と、伝える。

「入れなさい」

「かしこまりました」

タチカワが一礼して部屋を出て行くと、入れ替わりで中年男性の刑事と、その部下と思われる若者が入って来た。

「こんにちは。刑事課課長のヨシナガと言います。こちらは、見習いのクロダ君です」

「ようこそ、お待ちしておりました」

ヨシナガと言う男性は、見た目50代後半位の男性だった。クロダはま20代を過ぎたばかりの男性であった。
タナカは2人に客間用のソファーに座る様勧める。2人の刑事に一連の流れに付いてタナカは、詳しく説明をする。若手の見習い刑事は、ペンを持ってメモ帳に内容をメモ書きする。
話が終わると、刑事課長は「ふ...む」と、目を閉じて…しばらく考え込む。

「話を聞いて、君はどう思ったかね?クロダ君...」

「そうですね。一連の流れからして言える事は、あえて我々が首を突っ込む程の重要性は、感じられませんね...気になる事と言えば、逃げ出したアンドロイドの性能が、どの程度なのかが不明なところですね。それで我々警察が協力するかが問われます。しかし...協力するとなると、マスコミも嗅ぎつけて来ます。その辺の覚悟はしておいた方が宜しいかもしれません」

「確かにアンドロイドがどの程度の性能なのかは重要な点であるな。我々の警察署にも、お宅のアンドロイドが事務の受付をしているが、そんなに優れた機能を持て余しているとは思えないですな...」

「ふむ...性能ね...。基本的なアンドロイドのシステム基本スペックは、CPUナノシステムコンピューター高性能半導体チップ最大10ペタバイト(1ペタは10の15乗、つまり千兆の位)、藍色ホログラム発光レーザーを搭載、瞬時に100層までのデータ信号を読み取る事が可能。約1秒間に最大で1垓(垓は京の4乗である。つまり10の20乗)までの計算処理速度を行う事が可能...などと言っても、直ぐには分からないでしょう?」

刑事の2人は、何を言われたか分からずにポカンとしていた。
丁度その頃、来客者用に紅茶を持って来たメイド用のアンドロイドが来た。タナカは、彼女を見て

「丁度良い...ユミよ、君の性能を彼等に見せて上げなさい」

「かしこまりました。では...すみませんがWBを、貸して下さい」

ユミと言う名のアンドロイドは、ヨシナガからWBを受け取ると立体パネルを開き、画像項目をスラスラと、ページ項目を捲って行くと。

「ありがとうございます。ヨシナガ様、WBをお返しします。大体の事は分かりました」

「え?今ので分かったの?」

「はい。最近、右腕をケガなされましたね。現在も治療中のようですね」

「その通りだ、この間犯人との格闘で、右腕を痛めたのだ」

驚いたヨシナガは右腕の袖を捲って包帯を見せる。

「あと…今年、お孫さんが生まれましたね。非番の日は夫婦で温泉に行く事が楽しみですね」

「当たっている、その通りだ!」

「クロダ様は、今度御結婚なさるのですね。おめでとうございます」

「あ...はい、ありがとうございます。そこまでわかったの?」

「あなたは、警察官になる前はセールスマンをしていました。取り引き先の会社で奥さんになられる方と知り合い、そのまま交際をしたのですね」

「正解です。凄いですね」

「凄いなアンドロイドは。警察署にいるのも、こんな事が可能ですか?」

「我が社の物なら、大体基本スペックは同じですから可能です。彼女の様に細い身体でも、アンドロイドの持つ出力は最高出力は1000kwで、軽く貴方達を投げ飛ばす事が出来ます。ちなみにアリサは、この数倍の性能を持ち合わせています。今、彼女が貴方達の経歴を読み取るまでに、数分程掛かりましたが...アリサは、その上の数十秒単位で、何千人ものデータを読み取ってしまう程でしょう」

「恐ろしいですね」
クロダが呟いた。

「そう...恐ろしい程です。もしも悪用されたら、間違いなく世界を恐怖に貶め入れてしまう可能性があります」

「なるほど...で、我々の協力は、如何程にすればよいのですか?」

「アリサの捕獲の援護を頼みたいと、思います」


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