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a four-leaf clover
【女性向け 官能小説】

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四つ葉のクローバー-4

廊下の剥き出しの蛍光灯は、寿命が近付いているのかやけにチカチカしている。


そんな弱々しい光にも、そこそこ大きな蛾が寄ってきて、蛍光灯にぶつかる音が耳を刺激した。


そんな光景もいつもと変わらない。


陽介と別れてから、一人で帰ってくるようになったこの光景。


誕生日と言えども何も変わらない。


咳をしても一人、なんて言葉を思い出したあたしは、わざとらしく咳払いをしてから、バッグの中にある鍵に手を伸ばし、ごそごそしながら二階にたどり着いた。


静寂の中であたしのヒールを鳴らす音と、鍵のチャラチャラした音を響かせながら、階段を昇って右に曲がる。


そんな静かな空間を、ガサッと持っていたレジ袋が一際大きな音をたてた。


いや、持っていたというのはおかしいか。


その時にはすでに、驚きのあまりにレジ袋を落としていたのだから。


でも、あたしはそれすら気付かないように、まっすぐ見つめていた。


「……よう」


視線の先には、あたしの部屋のドアにもたれかかってしゃがんでいた男。


会いたくて、会うのが怖くて、忘れたくて、忘れられなかった男が、そこにいた。


しゃがみ込んでいた陽介は、ゆっくり立ち上がろうとした。


でも長い間同じ姿勢でいて身体が痛かったのか、立ち上がる時に顔を歪めていた。


動き出した陽介に対し、あたしはと言うと、予想もしなかった展開に頭がついていかなくて、彼を凝視するだけ。


そんなあたしに近付いてきた陽介は、足元に落ちたまんまのレジ袋を拾い上げると、


「何やってんだ、サッサと拾えよ」


と片眉をあげて皮肉混じりの笑顔であたしにそれを寄越した。


たちまちあたしの目から涙が溢れてくる。


陽介がここにいる驚き、会いたかった気持ち、あたしに突き放されておきながら平然としている態度に対するムカつき……。


とにかく万感の思いが次から次へと押し寄せて、胸が苦しくなったあたしは、下唇をグッと噛み締めて涙がこぼれるのをこらえていた。







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