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a four-leaf clover
【女性向け 官能小説】

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四つ葉のクローバー-2








「はあ……」


あたしは深いため息を吐きながら、窓の向こうの流れる景色を恨めしげに睨み付けた。


あたしってなんでこうタイミング悪いんだろ。


この電車はあたしん家に向かう、上りの電車。


帰宅ラッシュの下り電車とは違って、余裕で座れる快適な空間。


シートに腰かける乗客の皆さんは、冷房がきいた車内で気持ち良さそうに涼んでいた。


その一方で、あたしの気分はどんより晴れなかった。


陽介に会いに行くつもりが、成り行きとはいえ逆方向の電車に乗ってしまって。


いつまでも二の足を踏んでいた自分が招いた結果だけど、すんなり陽介のアパートに向かえないと、まるで神様が邪魔してんじゃないかって気になる。


「陽介はもうお前のことが好きじゃないから、会いに行っても無駄だ」って。


一旦悪い方向に考え出すと、負の連鎖が始まって途端に不安が押し寄せて、誰かにすがりつきたくなる。


咄嗟に優真先輩の笑顔を思い浮かべたけれど、小さく首を横に振ってそれを頭の中から追い出した。


優真先輩は、あたしがこうやって弱気にならないように、わざと突き放したんだから。


自分のことを差し置いてもあたしの背中を押してくれた、彼の気持ちを無駄にしちゃいけない。


よし、次の駅で下り電車に乗り換えるぞ。


自分に気合いを入れるつもりで、ガラスに映る顔を再び覗き込んだ。




が、その数秒後。


「……やっぱり、今日はやめとこ」


あたしは小さな声でそう呟いた。


そこには、泣きすぎて腫れた瞼と、マスカラとアイライナーが滲んで目元が真っ黒になった女がやつれた顔で映っていた。



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