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夢姫伝説
【SF 官能小説】

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第1話-2

「そうか...ご苦労だったな周辺にいる皆に状況を見て適当に終了する様伝えてくれ。後はこっちで全てやる」
「分かりました」

会長は、そう言ってミヤギとの連絡を終える。
 
大きなオフィスルーム。深夜1時頃、そのオフィスには人の姿は無かった。何十個もある机の上には、それぞれ作業に追われる日々を物語るかの様に書類の山が並べられている。平日の昼間、このオフィスルームには数十名もの研究員達が半透明ディスプレイのPCの画面と睨み合いながらレーザーキーボードを叩いていた。 オフィスルームの奥に木製で作られた扉が見えた。扉を開け中へ行くと、そこには会長用の小さな部屋があった。その日、大きなオフィス空間には会長だけとなっていた。彼も、普段なら自宅にいるときであったが事故発生の通報から急いでオフィスへと足を運んでいたのであった。

彼は、ミヤギの報告を受けて深く溜め息を吐く。ほんの2時間程前自分達の運送用のトラックが、事故を起こした事に付いての記者会見を行う事と、自分達会社が極秘に制作していた物が行方不明と言う事態を招いてしまった事に会長は頭を悩ましていた。

彼はデスク横にある小型パネルに向かって「タチカワを...」と、一言声を掛ける。
しばらくして会長室をノックして中年男性が室内に入って来た。

「タナカ・ミノル会長、お呼びになりましたか?」

と、一礼して、タチカワと言う男性は彼の前へと来る。
男性は細身の体で黒服のスーツを身に纏い、白髪でメガネをかけていた。

「来週予定していた発表会の予定だが...。新開発のモデルの発表は取り下げで、私の今後の製品開発の説明会へと変更する」
「かしこまりました。その様に準備しておきます」

タチカワは、そう言って一礼して部屋を出て行く。

タナカは座っているEVチェアーを指で軽く動かすと、EVチェアーがくるりと反転する。反転した先にある棚に掛けられた電子パネルをタナカは見る。そこには若く奇麗な女性の姿が写し出されていた。

タナカは眉間にシワを寄せて険しい表情で写真の相手を見つめる。電子パネルに映し出される若い娘は、幼い姿から十代半ばまでの成長いて行くまでの幾つかの映像へと切り替わって行く。最後に目映い日差しの中、大きく口を開いて笑顔で水遊びに戯れる。娘は十代半ばのまでの姿まで行くと、また幼い姿へと切り替わる。

「アリサよ...お前はそんなに、私の元から離れたかったのか?」

タナカは電子パネルの人物に向かって呟いた。


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